スペイン便り 2026-08-28

2026-08-28 / スペイン便り


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スペインニュース(2026年8月28日)

オープニング:2026年8月28日 — スペインニュース

今日のスペイン語ひとこと

「poner el grito en el cielo(ポネール・エル・グリト・エン・エル・シエロ)」=「天に向かって叫ぶ=激怒する、猛抗議する」を紹介する。直訳は「空に叫び声を上げる」で、あまりの事態に人々が声を荒げて抗議する様子を表す慣用句。動詞 poner(置く・~の状態にする)を使った表現で、「Los vecinos pusieron el grito en el cielo(住民は猛抗議した)」のように使う。セウタの抗議行動や、青銅器時代の秘宝が盗まれた今日のニュースに、そのまま当てはまる表現。

国際情勢(スペイン視点)

  • ネパール・チベット国境の氷河崩壊と大洪水、死者390人超・行方不明1400人超——スペイン外務省「スペイン人4人と連絡取れず」: エル・パイスによれば、氷河の崩壊をきっかけに巨大な鉄砲水と大規模な地滑りが発生し、地質当局はマグニチュード5.2相当の地滑りを記録した。死者は390人を超え、行方不明は1400人以上に達している。スペイン外務省(エステリオーレス)は「スペイン国民4人と現在連絡が取れていない」と確認した。8月27日時点の「2人所在不明」から人数が増えている。
  • ニカラグアの作家セルヒオ・ラミレス、ルーラ大統領に公開書簡——「オルテガは選挙を廃止した。ニカラグア国民から自由に選ぶ権利を奪わないでほしい」: エル・パイスに掲載された公開書簡で、セルバンテス賞作家セルヒオ・ラミレスはブラジルのルーラ大統領に対し、オルテガ政権を正当化しないよう求めた。ラミレスは2023年にオルテガ政権から国籍を剥奪され、現在はマドリードで亡命生活を送っている。スペインにとっては、旧植民地の反体制知識人を受け入れてきた国としての立場が問われる話題である。
  • セウタ大量入国めぐり閣内対立——ボラーニョス法相がロブレス国防相と衝突、「7万人規模の入国について事前の正確な情報はなかった」: エル・ムンドによれば、ボラーニョス法相は国家情報センター(CNI)の対応をめぐりロブレス国防相と対立し、「7万人が入国する規模について、事前にも正確にも情報はなかった」と述べた。政府は市民に「信頼と冷静」を呼びかける一方、野党PPは緊張の高まりを政府の「無為無策」のせいだとしている。
  • エル・パイス論説「二国家解決をさらに葬る」——東エルサレム周辺E1地区の入植住宅1234戸計画を批判: エル・パイスの論説は、エルサレムを取り囲むE1地区での1234戸の入植住宅入札計画を、歴代イスラエル政権が温めてきた構想の総仕上げだと論じた。スペインは2024年5月にパレスチナ国家を承認しており、EU内でもイスラエルの入植政策に批判的な立場を明確にしてきた当事国である。
  • スペイン人の受け止め: ネパールの災害では、スペイン外務省が自国民の安否を一件ずつ慎重に確認し、確定情報だけを発表する姿勢を続けている。ラミレスの書簡は、ラテンアメリカの民主主義を「他人事ではない」と感じるスペイン社会の感覚と重なる。E1地区の入植計画には、パレスチナ国家を承認した当事国として左右を問わず批判的な声が出やすい。

スペイン国内ニュース

  • セウタで市民が移民の仮設小屋に放火、警察が割って入る——「カバージャ(セウタっ子)は決して降参しない」: エル・パイスとエル・ムンドによれば、トランポリン海岸で一部の市民が移民のバラック(掘っ立て小屋)に火をつけ、赤十字(クルス・ロハ)による食料配布を妨害しようとした。「カバージャは決して降参しない」「赤十字はマフィアだ」という声が上がり、警察がさらなる衝突を防ぐために間に入った。政府は移民を収容する施設をめぐりビバス市長と対立しており、市長は体育館の使用を拒否して「鎖で身体をつなぐ」と警告している。
  • セウタの商店主「最悪の8月」——業界団体は売上減を40〜70%と試算、観光崩壊で緊急支援を要求: エル・ムンドによれば、セウタの商店主は「店を守るために鉄の棒を持ち出さなければならなかった」と語り、業界団体は損失を40〜70%と試算した。観光客の激減と先行き不透明感を受け、政府に緊急支援を求めている。
  • 青銅器時代の秘宝「ビジェナの秘宝」が盗まれる——59点を4分足らずで、警備員のいない博物館から: エル・パイスとエル・ムンドによれば、覆面の3人組が博物館の外で警報を鳴らして注意をそらしたうえで、アリカンテ県ビジェナの考古学博物館(ムビ)に侵入し、紀元前1000年ごろの金細工を中心とする先史時代の59点を4分足らずで持ち去った。博物館は2024年に改装されたばかりで、常駐の警備員はいなかった。今年4月にアルバセテ県立博物館で起きた金製品の強盗とほぼ同じ手口で、市民警察隊(グアルディア・シビル)が捜査している。文化省芸術総局は先週、全国の博物館に警備体制の報告を求めていた。
  • カンプ・ノウがエステラーダ(独立旗)で埋まる——「プロセス」最盛期のような光景: エル・ムンドによれば、FCバルセロナのスタジアム、カンプ・ノウの観客席がカタルーニャ独立を象徴するエステラーダで埋まった。ラポルタ会長が予告していた「旗の高揚の場」となり、独立運動「プロセス」が最も過熱した時期を思わせる光景だったと報じられている。
  • 日本人との比較: 改装したばかりの博物館に警備員が常駐しておらず、しかも4月とほぼ同じ手口で再び盗まれた点は、指定文化財の警備体制や収蔵品管理を細かく制度化してきた日本の運用と対照的である。一方、スポーツの場が政治的主張の舞台になるカンプ・ノウの光景は、応援と政治的意思表示を切り離しがちな日本のスタジアム文化とは大きく異なる。事態への「猛抗議」がすぐ街頭や現場での実力行使に向かうセウタの空気も、抗議が比較的静かな同調圧力の形をとりやすい日本とは違う。

文化・芸能ニュース

  • サンセバスティアン映画祭2026、スペイン勢の顔ぶれ発表——アルモドバル、ロス・ハビス、イサベル・コイシェ、フェルナンド・トゥルエバ、ミケル・グレア: 8月14日の発表によれば、9月18〜26日に開かれる第74回サンセバスティアン映画祭には、ペドロ・アルモドバル、ハビエル・カルボとハビエル・アンブロシのコンビ「ロス・ハビス」、イサベル・コイシェ、フェルナンド・トゥルエバ、ミケル・グレアら、世代の異なるスペイン人監督の作品が並ぶ。バスクの街が毎年スペイン映画の一大見本市になる。
  • ハビエル・バルデム主演の新作公開——落ちぶれた娘と再起する巨匠監督、疎遠だった父娘が久々に一緒に撮影する物語: 8月に公開されたスペイン映画では、ハビエル・バルデムが名匠の映画監督を、ビクトリア・ルエンゴが役者として芽の出ない娘を演じる。長く疎遠だった父と娘が、年月を経て一緒に映画を撮る姿を描く。バルデムは国際的な活躍で知られるが、拠点はスペインに置き、母もベテラン女優という映画一家の出身である。
  • ロサリア、「ルクス・ツアー2026」でラテンアメリカを回る——8月はブエノスアイレスで2公演: スペインの歌手ロサリアは、アルバム「ルクス(LUX)」を軸にした「ルクス・ツアー2026」で南米を巡演し、8月1〜2日にはブエノスアイレスのモビスター・アリーナで公演した。カタルーニャ出身でフラメンコの語法を現代のポップに持ち込んできたロサリアにとって、ラテンアメリカは言語も客層も地続きの市場であり、長期ツアーの生活が創作のペースにも影響する。
  • 草間彌生さん死去、97歳——スペインの美術界も追悼、2011年のレイナ・ソフィア回顧展を回想: エル・パイスとエル・ムンドは、水玉模様で知られる日本の美術家、草間彌生さんの死去を大きく報じた。両紙は、明るい色彩の奥に精神的な苦しみを抱えていた作家像を伝え、2011年にマドリードのレイナ・ソフィア美術館が共同企画した回顧展を、スペインで草間作品が広く知られる契機になった展覧会として振り返っている。
  • 日本人との比較: サンセバスティアン映画祭が世代の違う監督を横並びで見せる作り方は、巨匠と新人の「格」を分けて紹介しがちな日本の映画界とは異なる。草間さんの回顧展をスペインの国立美術館が共同企画したように、海外の美術館が日本の現代作家を早くから正面から扱ってきた点も、自国作家の海外発信に慎重だった日本と対照的である。

フラメンコニュース

  • 「フラメンコ・オン・ファイア2026」、ナバラ州で最終盤——テーマは「アンダルシアのカデンツァ1925〜1950」、パンプローナでホセ・メルセやマヌエル・リニャンが締めくくり: 主催者の発表によれば、アンダルシアの外、ナバラ州で開かれる国際フラメンコ祭「フラメンコ・オン・ファイア」は8月21〜29日の日程で、今年はビアナ、初参加のエステーリャ=リサラ、パンプローナの3都市を舞台にした。「12+1回目」と銘打ち、6日間で16の会場・34の催しを組む。フラメンコがカフェから大舞台・闘牛場へ移った時代の和声進行「アンダルシアのカデンツァ」を軸に、ホセ・メルセ、マイテ・マルティン、マヌエル・リニャン、ラファエル・リケニ、ロサリオ・ラ・トレメンディータらが出演。ギタリストのリケニがサックス奏者ティム・リースとファド歌手アナ・モウラと組む新作初演も行われる。
  • サンフェルナンド「ラ・イスラ・シウダー・フラメンカ」第11回、最終週へ——42日間の会期、カマロン生誕75年とエル・チャト生誕100年を記念: 現地報道によれば、カディス県サンフェルナンドの市を挙げたフラメンコの催し「ラ・イスラ・シウダー・フラメンカ」は7月21日から8月31日までの42日間、広場や史跡、街角の舞台で公演を続けている。今年はこの街出身のカマロン・デ・ラ・イスラ生誕75年と、同じく地元のカンタオール、エル・チャト・デ・ラ・イスラ生誕100年(1926〜2026年)を特別に記念する。カマロン博物館の屋上やカフェを新会場に加え、8月17〜20日には第1回フラメンコ・ジャズ・セミナーを開いた。
  • マドリード「ベラーノス・デ・ラ・ビジャ」、この夏フラメンコ11公演——8月26〜27日はホセ・マルドナードの新作「ガレリア」: 現地報道によれば、マドリード市の夏の芸術祭「ベラーノス・デ・ラ・ビジャ」は7月7日から8月30日までにフラメンコを11公演組んだ。ファルキート、パウラ・コミトレ、キキ・モレンテ、ヘスス・カルモナ、ダニ・デ・モロンらが出演し、8月26〜27日はホセ・マルドナードが絵画と組み合わせた新作「ガレリア」をコンデ・ドゥケなどで上演した。伝統的なバイレから他分野との融合まで幅を持たせた構成になっている。
  • フラメンコとアンダルシア: ナバラ州の「フラメンコ・オン・ファイア」やマドリードの「ベラーノス・デ・ラ・ビジャ」がアンダルシア外でフラメンコを大きく打ち出す一方、カマロンの故郷サンフェルナンドは42日間かけて地元の歌い手の記念行事を積み重ねている。発祥地アンダルシアには、フラメンコが「スペイン全体の文化」「首都の芸術祭の目玉」として消費されることへの複雑な思いが根強く、今回のように発祥地の記念行事と首都・地方の大型フェスが同時に走ると、その対比が見えやすい。

フラメンコギター工房だより

  • ビセンテ・カリージョ工房(クエンカ県カサシマロ): エル・コレオ・ガジェゴの2026年3月のインタビューによれば、ラ・マンチャ地方カサシマロのビセンテ・カリージョ工房は、およそ270年にわたり途切れず家族でギターを作り続けている。カサシマロは「ギターの町」として知られる内陸の集落である。
  • 木材選びと製作の考え方: カリージョは、良い木材を目で見て選び分ける力は年月をかけて身につくものだと語り、ギター製作には家具作りの基礎と、共鳴を生む音響の理解の両方が要ると説明している。フラメンコギターは通常660ミリで、コンサート用クラシックギターの標準650ミリより1センチ長い。パコ・デ・ルシアは手の力が強く、弦の張力を上げた670ミリの特注品を使っていた。
  • 演奏家とのつながり: カリージョ工房のギターは、クラシックのスコット・テナントやゾラン・ドゥキッチ、フラメンコのパコ・デ・ルシア、トマティート、ホセ・マリア・カニサレス、ニーニョ・ホセレ、ディエゴ・デル・モラオら、そしてローリング・ストーンズのキース・リチャーズやロニー・ウッドまで幅広い演奏家が使ってきた。カリージョは、2010〜2012年に官報で告示されたギター製作家の公式資格制度が、教育機関に採用されないまま「引き出しにしまわれたままだ」とも語っている。

まとめ

ネパール・チベット国境の氷河崩壊による大洪水で死者390人超・行方不明1400人超となり、スペイン外務省はスペイン人4人と連絡が取れないと確認した。セルヒオ・ラミレスはルーラ大統領への公開書簡でオルテガ政権の正当化に反対し、亡命先マドリードから声を上げた。セウタでは市民が移民の小屋に放火し、閣内ではCNIの情報不足をめぐりボラーニョス法相とロブレス国防相が衝突、商店主は「最悪の8月」を訴えた。アリカンテ県ビジェナでは青銅器時代の秘宝59点が4分足らずで盗まれ、警備員のいない改装直後の博物館の管理体制が問われた。カンプ・ノウは独立旗で埋まり「プロセス」最盛期の光景が戻った。文化ではサンセバスティアン映画祭のスペイン勢の顔ぶれ、バルデム主演の父娘の物語、ロサリアの南米ツアー、草間彌生さんの追悼が伝えられた。フラメンコはナバラの「オン・ファイア」、カマロンの故郷サンフェルナンドの42日間、マドリードの夏の芸術祭が同時に進み、発祥地と各地の関係が浮かんだ。ギター工房だよりはクエンカ県カサシマロのビセンテ・カリージョ工房、約270年続く家族の手仕事を取り上げた。


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音声合成: VOICEVOX / キャラクター: ずんだもん四国めたん