【速報】Grok Botが「費用が持続不能」で上限引き締め、NYTはBraveを提訴 ほか今週のAI業界まとめ 2026/11/3

2026-11-03 / 生成AIニュース


概要

イーロン・マスク氏は、SpaceXのAIエージェントGrok Botの利用上限を「提供費用が収入に比べて持続不能なほど高い」として引き締め、OpenAIはChatGPTとCodexを同じトークンの利用枠にまとめます。New York Timesは、300億ページ超の索引の記事をAnthropicやPerplexityなどAI企業5社に流したとして、Braveを「盗品の故買屋」と提訴しました。イスラエルの42AIは、約3000万人分の行動の記録から個人投資家の売買を予測する「行動の世界モデル」を証券会社10社に提供しています。量子では、仏Alice & Bobの猫型量子ビットが待機中に最長約4.2時間ビット反転を起こしませんでした。セキュリティでは、CrowdStrikeが中国系Vapor PandaによるAIエージェント「ARTEX」を使った14カ国200超の組織への攻撃を報告しました。ずんだもんと四国めたんが解説します。

▼ 今日のトピック ・Grok Botは利用上限を引き締め、ChatGPTとCodexは同じ利用枠に ・New York Times、Braveを「盗品の販売業者」と提訴、AI企業5社への供給を問う ・イスラエルの42AI、個人の売買の判断を予測する「行動の世界モデル」 ・仏Alice & Bob、猫型量子ビットが最長約4.2時間ビット反転せず ・中国系Vapor Panda、AIエージェントの枠組み「ARTEX」で14カ国200超の組織を攻撃 ・最近のインシデント一覧(欧州のスーパーの冷凍ケース、Abrigo Sageworks、BTCPay Server、GitLab未修正1000台超、XCPEボットネット)

▼ 参考記事・ソース ・TechCrunch「Elon Musk throttles Grok Bot limits due to ‘unsustainably high’ costs」 https://techcrunch.com/2026/11/02/elon-musk-throttles-grok-bot-limits-due-to-unsustainably-high-costs/ ・TechCrunch「OpenAI is finally merging ChatGPT’s Chat and Work tabs」 https://techcrunch.com/2026/11/02/openai-is-finally-merging-chatgpts-chat-and-work-tabs/ ・TechCrunch「New York Times and other outlets sue web browser Brave over alleged content scraping」 https://techcrunch.com/2026/11/02/new-york-times-and-other-outlets-sue-web-browser-brave-over-alleged-content-scraping/ ・TechCrunch「42AI comes out of stealth with $62.5M and a world model that can ‘predict human behavior’」 https://techcrunch.com/2026/11/02/42ai-comes-out-of-stealth-with-62-5m-and-a-world-model-that-can-predict-human-behavior/ ・Quantum Computing Report「Alice & Bob Demonstrates Multi-Hour Physical Bit-Flip Suppression on Single-Cat and Helium 2 Processors」 https://quantumcomputingreport.com/alice-bob-demonstrates-multi-hour-physical-bit-flip-suppression-on-single-cat-and-helium-2-processors/ ・BleepingComputer「Chinese hackers use ARTEX AI in automated attacks against 200 orgs」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/chinese-hackers-use-artex-ai-in-automated-attacks-against-200-orgs/ ・BleepingComputer「Hackers disrupt refrigeration systems at European supermarkets」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/hackers-disrupt-refrigeration-systems-at-european-supermarkets/ ・BleepingComputer「Fintech platform Sageworks taken offline after suspected cyberattack」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/fintech-platform-sageworks-taken-offline-after-suspected-cyberattack/ ・BleepingComputer「BTCPay Server warns of hot wallet crypto thefts on outdated instances」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/btcpay-server-warns-of-hot-wallet-thefts-targeting-outdated-instances/ ・BleepingComputer「Over 1,000 GitLab servers vulnerable to ongoing RCE attacks」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/over-1-000-gitlab-servers-vulnerable-to-code-execution-attacks/ ・BleepingComputer「Google disrupts million-device XCPE Android malware botnet, bans TV box maker」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/google-disrupts-million-device-xcpe-android-malware-botnet-bans-tv-box-maker/

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生成AI・量子・セキュリティニュース(2026年11月3日)

キーワード: Grok Botの利用上限の引き締めとChatGPT・Codexの共通枠 / NYTらによるBrave提訴とAI企業へのデータ供給 / 42AIの「行動の世界モデル」と証券会社 / Alice & Bobの猫型量子ビットが4時間超ビット反転せず / CrowdStrikeが追う中国系Vapor PandaとAIエージェントARTEX / 欧州6カ国のスーパーの冷凍ケース攻撃とXCPEボットネット

オープニング:2026年11月3日 — 生成AI・量子・セキュリティニュース

  • 今日の軸は「AIを動かす燃料と、その出どころ」です。計算の費用、学習や検索に使われる記事、人の行動の記録、そして攻撃に使われるトークンまで、AIが何を食べて動いているかを追います。
  • 生成AIでは、イーロン・マスク氏がGrok Botの利用上限を「費用が持続不能」として引き締め、OpenAIはChatGPTとCodexを同じ利用枠にまとめます。New York Timesなどは、検索エンジンのデータをAI企業に売るBraveを提訴しました。イスラエルの42AIは、個人の売買の判断を予測する「行動の世界モデル」を公表しました。
  • 量子では、仏Alice & Bobの猫型量子ビットが、ビット反転を起こさずに最長約4.2時間持ちこたえた結果を扱います。
  • セキュリティでは、CrowdStrikeが追う中国系の集団Vapor Pandaが、AIエージェントの枠組みARTEXで14カ国200超の組織を狙った件と、直近1週間のインシデント一覧を扱います。

生成AIと費用:Grok Botは利用上限を引き締め、ChatGPTとCodexは同じ利用枠に

  • ハロウィーンの週末、SpaceXのAIエージェント「Grok Bot」の利用者の一部で、夜間に使っていないのに週の利用上限が埋まる現象が起きました。Xには、使用率が50%から100%に跳ね上がったという報告が出ました(TechCrunch、11月2日)。
  • マスク氏は11月1日、利用者への返信で不具合ではないと認め、「Grok Botの提供費用が、収入に比べて持続不能なほど高かった」と書きました。今後の上限がどうなるかは示していません。
  • マスク氏はGrok Botを、自分が見た中で「最も速く成長した製品」と呼んでいました。上場したSpaceXは10月の届け出で、AIが収入の52%を占め、AI部門「Super Intelligence」が4億3100万ドルの利益を出したとしています。Cursorの買収に伴う一時費用12億ドルがなければ、利益はさらに大きかったとしています。
  • 同じ日、OpenAIは利用者へのメールで、ChatGPTの「Chat」と「Work」のタブを統合すると伝えました(TechCrunch、11月2日)。まず一部の利用者で試し、その後に広げます。ファイルやプラグインを持ち込み、ウェブサイトや資料づくり、ウェブ上の作業まで1か所で頼める形にします。
  • このとき、ChatGPTとコーディング用のCodexは同じトークンの利用枠から差し引かれるようになります。OpenAIは大半の利用者に影響はないとしつつ、使い方とモデルによっては上限の回復を待つ回数が増えるとしています。Codexはデスクトップアプリの中で別の画面として残ります。
  • Anthropicは9月に、Claudeの会話とCoworkの機能を1つの画面にまとめていました。

生成AIと著作権:New York Times、Braveを「盗品の販売業者」と提訴、AI企業5社への供給を問う

  • New York Timesは11月2日、ニューヨークのマンハッタンの連邦地裁で、ブラウザーと検索エンジンを手がける米Braveを著作権侵害で訴えました。同じ日、Daily News、Chicago Tribune、Orlando Sentinelも同様の訴えを起こしました(TechCrunch、11月2日)。
  • 訴状によると、Braveは名乗らないクローラーで300億ページ超の索引を作ったため、出版社は収集を拒めませんでした。その記事を、Anthropic、Perplexity、Mistral、xAI、Cohereの5社に配っていたとしています。
  • Timesは、Braveを「盗まれた著作物の供給元、売人、流通業者」と呼び、出版社の中身をかすめ取る「泥棒」であり、それを第三者に売るAIの「故買屋」でもあると書きました。
  • 訴えは、有料の壁を回避するとされるブラウザーの機能と、出版社の広告を遮断しながら自社の広告を売る仕組みも対象にしています。差し止めと損害賠償を求め、金額は示していません。
  • Braveは2015年創業で、調達額は約2億5000万ドルとされます。TechCrunchの問い合わせには、すぐには答えませんでした。
  • TimesはすでにOpenAIとPerplexityも同様の主張で訴えています。今回は、AI企業そのものではなく、AI企業に検索データを売る仲介役が標的になりました。

生成AIと予測:イスラエルの42AI、個人の売買の判断を予測する「行動の世界モデル」、証券会社10社が利用

  • イスラエルの新興企業42AIは11月2日、6250万ドルのシード資金で表舞台に出ました。資金は創業者と、会長アミール・ガル=オル氏が創ったInfinity Groupが3年かけて出したものです(TechCrunch、11月2日)。
  • 製品は「行動の世界モデル」で、ある人が特定の判断を下す確率を、初めての状況でも見積もるとしています。過去の行動をなぞるのではなく、心理的な傾向を数値に置き換えてTransformerのモデルに入れ、別の言語モデルが予測の理由を説明します。
  • 入力は、本人確認や口座開設、営業・サポートとのやりとりの声の調子や頻度、送金や売買のタイミングです。心理検査と行動シナリオ、200万人超の公的データやバイオバンクの資料で学習し、顧客のデータは約3000万人分に達するとしています。
  • いまは大手証券会社10社が、相場が荒れたときの個人投資家の動きを予測し、流動性や証拠金、ヘッジの管理に使っています。同社は売買の流れの予測で98%、方向と量の予測でF1値0.8〜0.85とし、ある証券会社はヘッジで約3000万ドルの価値を得たと主張しています。
  • 98%は、個々の売買を当てたのではなく、売買の流れが予測の幅に収まった割合です。友人や同僚の助言で売買を変えるような状況はとらえきれないと、エフド・エズラCTOも認めています。
  • 顧客の行動を先読みできる証券会社が、その知識を自社の利益に使うおそれについて、エズラ氏は「もっともな懸念だ」と答えました。創業者は規制、監視、社内の倫理委員会を挙げましたが、顧客が利用者に不利な使い方をするのをどう防ぐかは説明していません。
  • CEOのアミット・ガル=オル氏は、個人を特定する情報は要らず、モデルは「その人が誰かを知らない」と話しています。ただし、つなぎ合わせた顧客の行動から個人ごとの行動像を作っている点は変わりません。今後は、ゲーム、不正防止、サイバーセキュリティにも広げる考えです。

量子コンピュータ:仏Alice & Bob、猫型量子ビットが最長約4.2時間ビット反転せず

  • フランスの量子コンピュータ企業Alice & Bobは、超伝導回路の「猫型量子ビット」で、ビット反転が1時間以上起きないという結果を自社ブログで公表しました。題は「1時間に1回だけ跳ぶ猫型量子ビット」で、データと解析も公開していますが、査読は経ていません(Quantum Computing Report、11月2日)。
  • 猫型量子ビットは、共振器に閉じ込めた光子の状態で0と1を表します。光子の数を増やすほど0と1の取り違え(ビット反転)が起きにくくなり、残る位相の誤りだけを外側の符号で直せばよい、という設計です。
  • 単体の試験素子では、平均光子数11で、61時間の連続観測中にビット反転が41回起き、平均の寿命は44分(95%信頼区間33〜60分)でした。反転は過去に引きずられない、でたらめなポアソン過程に従っていました。
  • 12量子ビットのプロセッサー「Helium 2」では、平均光子数11〜16で、1番目と12番目の猫が189分、8番目が252分(約4.2時間)でした。
  • 代償も数字で出ています。位相反転の寿命は420ナノ秒で、Zゲートの忠実度は94.2%(26.5ナノ秒)です。猫型は、光子を増やすほど位相の誤りが比例して増える仕組みです。
  • この寿命は、何も操作していない待機中のものです。ビット反転を起こさない制御NOTゲートなど、2量子ビットの操作中に同じ寿命を保てるかが次の関門だとされています。
  • 同社が以前示したRSA-2048の素因数分解の見積もりは、ビット反転の寿命を100年と置いて約2万3000量子ビットでした。寿命が1時間なら、外側に距離3のビット反転の符号を重ねる必要があり、約4万5000量子ビットに増えると記事は見積もっています。

セキュリティとAI:中国系Vapor Panda、AIエージェントの枠組み「ARTEX」で14カ国200超の組織を同時に攻撃

  • 米CrowdStrikeは、中国系の攻撃集団「Vapor Panda」が、多数のAIエージェントで侵入試験を行うオープンソースの枠組み「ARTEX」を使い、14カ国の200を超える組織を狙ったと報告しました(BleepingComputer、11月2日)。作戦は10月17日に始まりました。
  • 標的は、政府の省庁、通信会社、製薬、半導体、防衛、原子力、金融です。少なくとも9組織への侵入が確認され、ほかに少なくとも12の重要な標的がパスワードの総当たりや認証情報の探索を受けました。確認された被害には、米国とベルギーの通信会社、ギリシャや中東、中南米の政府機関、米国の製薬会社が含まれます。
  • 攻撃者は、中国のDeepSeekともう1つの商用言語モデルで、計画役と作業役のエージェントを複数の侵入で同時に動かしました。指示は中国語で出し、重要な判断の場面だけ人が介入しました。
  • エージェントは、偵察、脆弱性の悪用、ウェブシェルの設置、認証情報の収集を行い、ふさがれると別の経路に切り替えました。CrowdStrikeの防御製品Falconが入ったWindowsは避け、守られていない端末に絞るよう指示されていました。1件の侵入で、入力トークンは14億を超えたとみられます。
  • ギリシャ政府の事例では、2022年にメールサーバーから書き出された名簿に残っていた認証の鍵を使い、エージェントが管理者のトークンを偽造してメールボックスを読みました。
  • CrowdStrikeは、1件ずつの侵入から、人の指揮のもとで複数の侵入を同時に回す段階へ移ったとして、「中国系によるAIエージェント利用の段階的な強化」と評価しています。
  • ARTEXは公開後、実際の攻撃に使われたため非公開に切り替えられました。オランダの脆弱性開示団体DIVDは、9月に自らが受けた侵害をARTEXによるものとし、最初の侵入から管理者権限まで12分、記録された要求は45万回超、スクリプトは2500本でした。DIVDはその動きを「ひどく騒々しく、雑」と表現しています。

セキュリティ:最近のインシデント一覧

  • 欧州のスーパーの冷凍・冷蔵ケース(11月2日報道/遠隔からの温度設定の改ざん。10月のフランスでの攻撃の続報):ベルギー、オランダ、スウェーデン、ルクセンブルク、アイルランド、エストニアの115店超で、冷凍庫の停止や霜取り運転の強制が起きた。Ahold Delhaize約40店、Carrefour15店、Intermarché約15店、SuperValu13店、Coop7店、ICA4店など。ICAの店では夜間に設定が50度にされて変更できず、冷凍食品を捨てた。複数の店の機器を扱う業者Sabcobelは、フランスと同じ脆弱性が使われ、ソフトの更新だけでなく機器の物理的な改修も要るとしている。犯行声明はない(BleepingComputer)
  • 米金融ソフトAbrigoの融資審査基盤「Sageworks」(10月30日に停止/「環境内の不審な動き」による緊急保守):Abrigoは米国の地方銀行や信用組合など2400超の顧客を持つ。週末をはさんで停止し、借り手向けの機能を除いて復旧した。侵害かどうかは公表しておらず、一部の研究者は利用する金融機関にAPIキーの作り直しを勧めている(BleepingComputer)
  • 暗号資産の決済ソフトBTCPay Server(11月2日警告/古い版でのホットウォレットの抜き取り):2.4.1以前の版で、攻撃者が管理者としてログインし、ビットコインとライトコインを不正に送金した。被害額と件数は非公表。脆弱性はAnthropicのオープンソース向け検査ツールで見つかり、10月29日に公表されていた。修正版2.4.7への更新か、すぐにオフラインにするよう求めている(BleepingComputer)
  • GitLab(11月1日集計/最高深刻度の脆弱性CVE-2026-97229の未修正サーバー。10月31日・11月2日に扱った件の続報):Shadowserverによると、ネットに露出した1000台超がまだ修正されていない。別の最高深刻度の欠陥CVE-2026-110264も、毎日観測される約3万9000台のうち1万1300台超に残る。修正版は19.4.2、19.3.5、19.2.8(BleepingComputer)
  • Android TVの受信箱のボットネット「XCPE」(11月2日報道/製造元が組み込んだ裏口):Googleは130万台超のボットネットを、提携先とともに止めた。中国の製造元Videostrongが製造時にファームウェアへ裏口を入れ、犯罪者に使わせて広告詐欺や住宅用プロキシに使ったと断定し、Android機器の認証を取り消した。協力先には日本の警察庁も含まれる。他のマルウェアに感染した1000万台超への指令も断ったが、裏口は機器に残り、消しても復活する(BleepingComputer)
  • 対策:今週は、冷蔵ケースの制御装置、テレビの受信箱、決済サーバーと、ネットにつないだまま放置しがちな機器が狙われました。設定画面をネットに直接さらさない、古い版を使い続けない、出どころの分からない格安の受信箱を家庭のネットにつながない、が備えになります。

まとめ

  • Grok Botは費用を理由に上限を引き締め、ChatGPTとCodexは同じ利用枠を分け合います。AIエージェントの計算は、使い放題の前提が崩れつつあります。
  • New York TimesはBraveを、AI企業5社に記事を流した「故買屋」として訴えました。42AIは、3000万人分の行動の記録から個人の売買を予測し、証券会社に売っています。
  • 量子では、Alice & Bobの猫型量子ビットが待機中に最長約4.2時間ビット反転せず、次は操作中の寿命が問われます。
  • セキュリティでは、Vapor PandaがARTEXのエージェントで14カ国200超の組織を同時に狙い、1件の侵入で14億トークンを使いました。

参考ソース


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音声合成: VOICEVOX / キャラクター: ずんだもん ・ 四国めたん