12歳でカマロンが見いだしたニーニャ・パストーリ、祖父の祭りで頂点に立ったカルロス・ピニャーナ、ペテネーラ【2026/11/04】
2026-11-04 / スペイン便り
概要
「マス・バレ・タルデ・ケ・ヌンカ(遅くてもしないよりまし)」の日に、早く見いだされた才能と長い道のりをたどる回です。ギタリスト列伝は、カンテ・デ・ラス・ミナス第1回優勝者アントニオ・ピニャーナの孫で、20歳で同じ祭りの「ボルドン・ミネロ」を取り、オーケストラとの「交響的フラメンコ」へ道を広げたカルタヘナのカルロス・ピニャーナ。使用ギターはアルハンブラの「メングアル・イ・マルガリット」。バイレ列伝は、9歳で舞踊学校に入り、ハビエル・バロンに16歳で選ばれ、いまは国立バレエ団を率いるルベン・オルモ。カンテ列伝は、12歳でカマロンに舞台へ招かれ、デビュー30年の今年はサルサの新作『カラー・ファニア』を出したニーニャ・パストーリ。工房だよりは、家具工房から始まり創業60年を迎えたアリカンテ県ムロ・デ・アルコイのアルハンブラ・ギターラス。パロ解説は、メキシコとカディスを往復したと言われる12拍の歌「ペテネーラ」を、6/8+3/4のコンパスとAm→E→Am、G→F→Eの進行から数え直します。
▼ 今日のトピック ・プエンテ運輸相が2度の高速鉄道事故で辞任 ・セルバンテス賞に短編作家クリスティナ・フェルナンデス・クバス/アンダルシア文化賞にロシオ・モリーナら ・ハレオス・エストレメーニョスの国際舞踊コンクール決勝に6人/カマロン生誕75年の16公演と「フラメンコの日」/アマゾン・ミュージックの「フラメンコ月間」 ・ギター列伝: カルロス・ピニャーナ(Carlos Piñana) ・バイレ列伝: ルベン・オルモ(Rubén Olmo) ・カンテ列伝: ニーニャ・パストーリ(Niña Pastori) ・工房だより: アルハンブラ・ギターラス(Alhambra Guitarras、アリカンテ県ムロ・デ・アルコイ) ・パロ解説: ペテネーラ(Petenera)
▼ 関連リンク(アーティスト・パロ・工房) ・カルロス・ピニャーナ『Negroide (Bulería)』1999年(公式配信) https://www.youtube.com/watch?v=wM2DkEvNufM ・カルロス・ピニャーナ『Tarantilla (Minera)』2011年(公式配信) https://www.youtube.com/watch?v=tMD9jjTc8s8 ・カルロス・ピニャーナ『Journey of instruments』2026年(ARTE Concert公式) https://www.youtube.com/watch?v=zu1z_E6zX7E ・カルロス・ピニャーナ、アルハンブラ「2F」を弾く 2016年(アルハンブラ・ギターラス公式) https://www.youtube.com/watch?v=vFAd-1Pp-vo ・ルベン・オルモ『Jauleña』Expo Dubái 2020(国立バレエ団公式) https://www.youtube.com/watch?v=7mx-BfE6nMQ ・ルベン・オルモ『Estampas flamencas (Taranto)』2022年ヘレス・フェスティバル(国立バレエ団公式) https://www.youtube.com/watch?v=oSSxNRmp9kI ・ルベン・オルモのファルーカ 2010年(カナル・スル公式アーカイブ) https://www.youtube.com/watch?v=To2SyxR986g ・ニーニャ・パストーリ『Alegrías』1989年(カナル・スル公式アーカイブ) https://www.youtube.com/watch?v=ardtEhpUTFY ・ニーニャ・パストーリ『Eres luz』ブレリア 1998年(カナル・スル公式アーカイブ) https://www.youtube.com/watch?v=mflZ2ZXotHA ・ニーニャ・パストーリ『Cai』(本人公式) https://www.youtube.com/watch?v=C8Pvz5Yu_Ic ・ニーニャ・パストーリとカマロンの一日(カナル・スル公式) https://www.youtube.com/watch?v=LOjWU3DzKfw ・アルハンブラ・ギターラス公式サイト https://www.alhambraguitarras.com/en/our-origins ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネス『Quisiera Yo Renegar (Petenera)』(公式配信) https://www.youtube.com/watch?v=xLzN8M_P8pc ・エンリケ・モレンテ『Yo he visto a un niño llorar (Peteneras de Chacón)』1977年(公式配信) https://www.youtube.com/watch?v=ZDkz6tR73eI ・マヌエラ・バルガスとエンリケ・モレンテのペテネーラ 1993年(カナル・スル公式アーカイブ) https://www.youtube.com/watch?v=n_wH54OTnww
▼ 参考記事・ソース ・RTVC「Óscar Puente anuncia su dimisión como ministro de Transportes」 https://rtvc.es/oscar-puente-anuncia-su-dimision-como-ministro-de-transportes-3-noviembre-2026/ ・Ara「Cristina Fernández Cubas wins the Cervantes prize 2026」 https://en.ara.cat/culture/cristina-fernandez-cubas-wins-the-cervantes-prize-2026_1_5899166.html ・ExpoFlamenco「Rocío Molina, a leading figure in the arts at the Culture Awards」 https://expoflamenco.world/magazine/Rocio-Molina–a-leading-figure-in-the-arts-at-the-culture-awards/ ・ExpoFlamenco「Six artists … will compete in Badajoz for the Jaleos Extremeños Competition」 https://expoflamenco.world/magazine/Six-artists-from-Spain–Argentina-and-France-will-compete-in-Badajoz-for-the-Extremadura-jaleo-contest/ ・ExpoFlamenco「Andalucía celebra el Día del Flamenco … homenaje a Camarón de la Isla」 https://expoflamenco.world/magazine/andalucia-celebra-el-dia-del-flamenco-con-mas-de-cien-actividades-y-un-homenaje-a-camaron-de-la-isla/ ・Guía Flama「Amazon Music inaugura el ‘Mes del Flamenco’ con el Track by Track de Niña Pastori」 https://www.guiaflama.com/noticias/amazon-music-inaugura-el-mes-del-flamenco-con-el-track-by-track-de-nina-pastori/ ・Alhambra Guitarras「Carlos Piñana」 https://alhambraguitarras.com/blogs/artistas-alhambra/carlos-pinana-espana ・deflamenco.com「Carlos Piñana – Mundos flamencos」 https://deflamenco.com/revista/mas-flamenco/carlos-pinana-mundos-flamencos-1.html ・Wikipedia「Rubén Olmo」 https://es.wikipedia.org/wiki/Rub%C3%A9n_Olmo ・Wikipedia「Niña Pastori」 https://es.wikipedia.org/wiki/Ni%C3%B1a_Pastori ・Roig Arena「Niña Pastori – Color Fania」 https://www.roigarena.com/en/news/nina-pastori-presenta-6-diciembre-sala-auditorio-nuevo-espectaculo-color-fania-/ ・Alicante Plaza「Así es Alhambra Guitarras: 60 años de música artesana」 https://alicanteplaza.es/alicanteplaza/alcoy-el-comtat/asi-es-alhambra-guitarras-60-anos-de-musica-artesana-desde-muro ・Guillermo Castro Buendía「De la Petenera del Mochuelo a la de Chacón y la Niña de los Peines」 https://revistas.um.es/flamenco/article/download/83861/80811/343141
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スペイン文化・フラメンコ便り(2026年11月4日)
オープニング:2026年11月4日 — スペイン文化・フラメンコ便り
- 今日のスペイン語は「マス・バレ・タルデ・ケ・ヌンカ(Más vale tarde que nunca)」。直訳は「決してしないより、遅くてもするほうがいい」。日本語の「遅くてもしないよりまし」にあたることわざで、遅れた決断や、遅く届いた評価を受け止めるときに使う。
- 今日の軸は「早く見いだされた才能と、長い道のり」。80代でセルバンテス賞を受けた短編作家クリスティナ・フェルナンデス・クバスと、2度の高速鉄道事故の末に辞任した運輸相。フラメンコでは、カンテ・デ・ラス・ミナスの第1回優勝者の孫で、20歳で「ボルドン・ミネロ」を取ったカルタヘナのギタリスト、カルロス・ピニャーナ。9歳で舞踊学校に入り、いまは国立バレエ団を率いるルベン・オルモ。12歳のときにカマロンに舞台へ招かれ、今年デビュー30年を迎えたニーニャ・パストーリ。ピニャーナの楽器を作るアリカンテの「アルハンブラ・ギターラス」。そして、メキシコとカディスを往復したと言われる歌「ペテネーラ」。
スペイン国内ニュース
- プエンテ運輸相が辞任: カナリア諸島放送RTVCなどによると、オスカル・プエンテ運輸・持続可能モビリティ相は11月3日(火)の夜、下院常設代表部での説明の最後に辞任を表明し、11月29日の総選挙で予定していたバリャドリード選挙区の社会労働党(PSOE)名簿の筆頭からも降りた。10月28日のトレド県ウルダの高速列車事故(死者69人)と、1月のコルドバ県アダムスの事故(死者46人)を受けたもので、「1年足らずにこれほど重大な事故が2度起きて、続けることはできない」「これは何のドラマでもない。悲劇は犠牲者の痛みだ」と述べた。首相には説明の終わる数分前に伝えたという。国民党(PP)のミゲル・テジャードは「辞任は不可欠だが、十分ではない」と述べた。1月のアダムスの事故の後、プエンテは上院で辞任を拒んでいた。
文化・芸能ニュース
- セルバンテス賞にクリスティナ・フェルナンデス・クバス: カタルーニャの新聞アラ(11月3日)などによると、スペイン語圏で最も重い文学賞、2026年のセルバンテス賞(賞金12万5千ユーロ)が、1945年生まれの短編作家クリスティナ・フェルナンデス・クバスに決まった。ウルタスン文化相が11月3日夕に発表し、審査員団は「紛れもない独自の声」と「創作の自由」を挙げ、現代の短編を刷新し、スペイン語の幻想文学を変えたと評価した。1976年の創設以来、女性の受賞は7人目。授賞式は2027年4月23日の「本の日」に、アルカラ・デ・エナレス大学で国王夫妻から授与される。
- 暮らしと創作: アラ紙によると、海辺の町アレニス・デ・マル生まれで、何十年もバルセロナに住み、2016年の取材はアシャンプラ地区のアパートで受けた。文学との最初の出会いは、子守りの語る話と、兄が読み聞かせたポーの『アッシャー家の崩壊』。デビュー作の短編集『わたしの姉エルバ』(1980年)以来「短編が理想の形」と語り、閉じた空間で2人の人物の境目がぼやけていく話を好む。2025年の短編集『見えないもの』の一編「イル・ブーコ」は夢から生まれた。いまは「自分しか書きたがらないような、奇妙なSF」の長編を書きかけている。2023年に国民文学賞を知らされたときは、2016年に国民小説賞を受けていたので「何かの間違いだ」と思ったという。
- アンダルシア文化賞に踊り手ロシオ・モリーナら13組: エクスポフラメンコ(11月3日)によると、アンダルシア州文化省の第2回アンダルシア文化賞で、フラメンコ部門は9月22日・28日・10月1日のバイレ列伝のロシオ・モリーナに決まった。音楽はグラナダのバンド「ロス・プラネタス」、映画はセビリアのアルベルト・ロドリゲス監督、造形美術はヘレス生まれのアナ・バリガ。2025年8月8日の火災に対応したコルドバのメスキータ=カテドラルの聖堂参事会も、不動産文化財の保全で選ばれた。授賞式は11月5日、2031年欧州文化首都に立候補しているグラナダのカハグラナダ劇場で開かれる。
フラメンコニュース
- ハレオス・エストレメーニョスの国際舞踊コンクール、決勝に6人: エクスポフラメンコ(11月3日)によると、エストレマドゥーラ地方の踊りの歌「ハレオ」(10月28日のパロ解説)で競う第3回国際フラメンコ舞踊コンクールの決勝進出者が、セビリアのアンダルシア・フラメンコ研究所で発表された。日本、チリ、アルゼンチン、米国、フランスなどから52件の応募があり、審査員団は「選ぶのが非常に難しかった」として決勝を5人から6人に増やした。アルゼンチンのハシエル・ナイン、スペインのアントニオ・アマヤ「エル・ペテテ」とアドリアン・ドミンゲス、フランスのマリア・クラストレ、パオラ・アルモドバル、パウラ・ボラーニョスで、女性3人と男性3人。11月13日にバダホスのロペス・デ・アヤラ劇場で、生演奏と歌に合わせて最長20分で2曲を踊る。1曲はハレオ、もう1曲は自由。賞金は1位9千ユーロ、2位4千ユーロ、3位2千ユーロ。審査員はクリスティナ・オヨス、今日のバイレ列伝のルベン・オルモ、パトリシア・ゲレーロ、ペドロ・コルドバ。
- 国際フラメンコの日、カマロン生誕75年の16公演: エクスポフラメンコ(11月4日)によると、11月16日の「フラメンコの日」に向けたアンダルシア州の催しは100件超、出演は280人を超える。カマロン・デ・ラ・イスラの生誕75年(1950年12月5日生まれ)を記念し、アンダルシア・ペーニャ連合会と組んで各県2公演ずつ、計16公演を11月から12月に開く。15日の「むき出しのフラメンコ」第2回では、8県都の美術館や文化財で踊り手が踊る。セビリア現代美術センターではエバ・ジェルバブエナ、マラガ美術館ではマヌエル・リニャン、カディスではマリア・モレノ、コルドバではパウラ・コミトレ。パトリシア・デル・ポソ文化相は、いまの創作の盛り上がりを挙げ、フラメンコを知り、守り、伝える責任があると述べた。11月3日に伝えたペーニャの巡回とは別の、州の公式プログラムである。
- アマゾン・ミュージックの「フラメンコ月間」、ニーニャ・パストーリが30年を語る: グイア・フラマ(11月4日)によると、アマゾン・ミュージックは国際フラメンコの日に合わせて「フラメンコ月間」を始め、今日のカンテ列伝のニーニャ・パストーリが、自分の曲を1曲ずつ語る特集を公開した。10代でカマロンに出会ったことや、「デ・ボカ・エン・ボカ」「アモール・デ・サン・フアン」「エスペランド・ベルテ」「アマメ・コモ・ソイ」の誕生を振り返り、「いちばん美しいのは感動。わたしの歌い方を人に伝えたいの」と話す。ビルバオの音楽産業見本市BIMEでは、ユニバーサル・ミュージックと組んだ「チョコ・フラメンコ」第2回を「フラメンコの家系」をテーマに開き、名門一族の複数の世代を同じ舞台に並べた。
フラメンコギタリスト列伝
- 今日の一人: カルロス・ピニャーナ(Carlos Piñana)。1976年、ムルシア州カルタヘナ生まれ。鉱山の歌の家系「ピニャーナ家」の末っ子で、ギタリスト、作曲家、教育者。
- 一族の系譜: 祖父のアントニオ・ピニャーナ・セガード(1913〜1989年)は、ラ・ウニオンの「カンテ・デ・ラス・ミナス」で1960年代初めの第1回コンクールに優勝した歌い手で、米国の紹介記事は「鉱山の歌の家長」と呼ぶ。昨日のパロ解説では、カルタヘネーラを作った「赤毛の靴屋」の歌を、息子アントニオ・グラウから受け継いで掘り起こした人として登場した。父アントニオ・ピニャーナはギタリスト。兄弟には、ギタリストのペペ・ピニャーナと、歌い手のクーロ・ピニャーナがいる。
- 生い立ちと学び: マラガ市の2017年の案内によると、最初は父にギターを習い、10歳でカルタヘナの音楽院に入った。1988年から1998年まで10年間クラシック・ギターを学び、同時に家でフラメンコを身につけた。のちにムルシア高等音楽院の上級課程を終え、ムルシア大学で音楽研究の修士を取っている。
- 転機1(1996年、20歳でボルドン・ミネロ): 1995年にプロとして活動を始め、翌1996年、カンテ・デ・ラス・ミナスのギター部門の最高賞「ボルドン・ミネロ」を20歳で受けた。同じ年にデビュー盤『エル・クイダード・デ・ラ・エセンシア(本質を大切に)』を出している。のちにラ・ウニオンのガラで、この受賞を「キャリアの転機」と振り返り、演奏の一部を父と祖父に捧げた(デフラメンコ誌)。1998年にはコルドバの全国ギター賞「ラモン・モントーヤ」も受けた。
- 転機2(地中海とカリブへ、1999年): アルハンブラ・ギターラス社の紹介とワールド・ミュージック・セントラルによると、1999年の『カル・リビリ』は伝統的なフラメンコの盤ではなく、カリブ、アフリカ、バルカンの伝統を持つ仲間とフラメンコを混ぜた。のちにホルヘ・パルド、カニサレス、エストレージャ・モレンテとも共演し、パリ、ロンドン、東京、モスクワなどで弾いた。
- 転機3(オーケストラとの「交響的フラメンコ」、2003年): 『ムンドス・フラメンコス(フラメンコの世界)』は、ホセ・ミゲル・ロディージャ指揮のムルシア交響楽団と録音した。デフラメンコ誌の2003年の評によると、父ら「ギターの師たち」に捧げたソレア「マエストロス」、新しい調弦とブルースの語法を借りたシギリージャ「ボルドネアンド」、踊り手ハビエル・ラトーレのためのファルーカ、レバンテの歌をタランタの形でギター、管弦楽、声の合奏にまとめた組曲「エセンシア」が並ぶ。評者は、編曲者と組むだけでも全部を一人で書くのでもなく、自分で作曲して編曲を分担する「第三の道」だとし、「どれもカルロス・ピニャーナの音がする」と書いた。のちにバレエ音楽『ポケル・フラメンコ』『ペネロペ』『ロメオとジュリエット』も書いている。
- 代表作1(家のブレリア): 公式配信の『Negroide (Bulería)』(1999年『カル・リビリ』より、約3分)。ブレリアの12拍のコンパスを、カリブやバルカンの音楽を持つ仲間とどう分け合うかを聴きたい。
- 代表作2(祖父の鉱山の歌): 公式配信の『Tarantilla (Minera)』(2011年『マノス・リブレス』より、約4分)。昨日のカルタヘネーラと同じ鉱山の歌の系統で、タランタと同じF♯の響きの低音と開放弦の残響に注目したい。
- 代表作3(いまの舞台): 独仏の文化放送アルテ公式の『Carlos Piñana & Ensemble - Journey of instruments』(2026年6月公開、約1時間44分)。メソポタミアからアンダルシアまでのウードとギターの旅をたどる番組で、2本目のギターにライナー・マリア・ネロ、打楽器にミゲル・アンヘル・オレンゴ、踊りにマメン・バーニョスとギジェルモ・ラモスが加わる。ギター2本と打楽器だけの小さな編成で、踊りの足音をどう受けるかを見たい。
- 技法の比較: 昨日のラモン・デ・アルヘシラスが父と巡業の現場で弾き方を覚えたのに対し、ピニャーナは音楽院で10年クラシックを学んだ。デフラメンコ誌の評は、パコ・デ・ルシアが他人の作った『アランフエス協奏曲』を弾いたのに対し、ピニャーナはオーケストラの曲まで自分で書く点を区別している。2017年のマラガの案内は、批評家が「叙情を組み立てる」人と評していると紹介した。
- 使用ギター: アルハンブラ・ギターラス社(2025年4月の紹介)によると、ピニャーナが弾くのは同社のフラメンコ・ギター「メングアル・イ・マルガリット」で、ヘッドの形を特別に作ってある。同社は彼と組んで「10 Fp ピニャーナ」(つや消し塗装)と「5 Fp ピニャーナ」(木目を生かすオープンポア塗装)を作った。紹介ではピニャーナ・モデルの材として、表板にシダー、裏板と側板にインド産ローズウッドを挙げている。同社公式の『Review model 2 F | Carlos Piñana』(2016年、約1分40秒)では、新しいフラメンコ・モデル「2F」をピニャーナが弾いて音色を聴かせる。
- いま: ムルシア高等音楽院のフラメンコ・ギターの教授(カテドラティコ)。2017年3月に始まった「ナルシソ・イエペス国際ギター祭」の芸術監督も務める。米国のオースティン・クラシック・ギターでは2025年と2026年7月に、クラシックの奏者向けのフラメンコ講座を開いた。2025年の公演では、19人の受講生のうち4人が舞台に上がり、アンコールのルンバを一緒に弾いた。
- 聴きはじめ: まず祖父につながる『Tarantilla (Minera)』で家の音を、次に『Negroide』で外へ開いた音を聴くと、伝統と実験の両方を担う人だと分かる。
フラメンコバイレ列伝
- 今日の一人: ルベン・オルモ(Rubén Olmo)。1980年、セビリアのセロ・デル・アギラ地区生まれの踊り手、振付家。2019年9月から国立バレエ団(BNE)の芸術監督を務める。2015年の国民舞踊賞の受賞者。
- 生い立ちと学び: スペイン語版ウィキペディアによると、セビリアの「ラス・トレス・ミル・ビビエンダス」地区の地元の教室で踊り始め、マノロ・マリンに学んだ後、9歳でセビリア舞踊学校(コンセルバトリオ)に入り、スペイン舞踊とクラシック・バレエの両方の課程を終えた。マノレテ(10月9日のバイレ列伝)、エル・グイト、マリオ・マジャ(9月30日)、ハビエル・ラトーレ、アントニオ・カナレス(11月2日)らに習った。父は大工だった。
- 転機1(16歳、ハビエル・バロンに選ばれる): 14歳でマリア・パヘスが率いたアンダルシア舞踊団の第1回振付講座に入り、16歳のとき、10月20日のバイレ列伝のハビエル・バロンに選ばれ、ベレン・マジャが主役の『エル・パハロ・ネグロ(黒い鳥)』でデビューした(カナル・スルの紹介)。
- 転機2(国立バレエ団から独立へ): 18歳で国立バレエ団に入り、1998年から2000年代初めまで群舞、ソリスト、振付家を経験した。王立劇場の『ラ・セレスティーナ』で主役級の踊り手として初舞台を踏み、イスラエル・ガルバンやアントニオ・カナレスの作品も踊った。23歳で辞めて自分の舞踊団を作り、2006年に闘牛士フアン・ベルモンテを描く『ベルモンテ』、2007年に大工の父に捧げた子ども向けの『ピノッチョ』を作った。
- 転機3(アンダルシアの舞踊団の監督、そして国立へ): 2010年の『トランキーロ・アルボロト(静かな騒ぎ)』でセビリア・ビエナルのヒラルディージョ(最優秀振付)を受けた。2011年から2013年はクリスティナ・オヨスの後を継いでアンダルシア・フラメンコ舞踊団の監督。2018年にはイスラエル・ガルバンと共同で『オラス・コンティゴ』を作り、2019年のヘレス・フェスティバルで批評家賞を受けた。2019年9月2日、アントニオ・ナハーロの後任として国立バレエ団の監督に就いた。
- 代表作1(グラナダの独舞): 国立バレエ団公式の『RUBÉN OLMO. JAULEÑA. Expo Dubái 2020』(2022年公開、約9分)。2020年3月7日にヘレスのビジャマルタ劇場で初演した『インボカシオン』の中の独舞で、ウィキペディアはグラナダから着想したと書く。音楽はマヌエル・ブスト、録音はエストレマドゥーラ管弦楽団。ギターではなくオーケストラに乗せて踊るので、足で打つ音がどこで入り、どこで止んで上体と腕に任せるかを見たい。
- 代表作2(歌い手3人とタラント): 同じく公式の『ESTAMPAS FLAMENCAS (TARANTO). RUBÉN OLMO』(2022年2月17日、ヘレス・フェスティバル、約2分)。2021年4月15日にセビリアのマエストランサ劇場で初演した独舞で、音楽はディエゴ・ロサダ。歌はサライ・ムニョス、ガブリエル・デ・ラ・トマサ、エル・ペレ、ギターはディエゴとビクトルのロサダ兄弟とエンリケ・ベルムデス。3人の歌い手が重なるところで、サパテアードがどう密度を変えるかに注目したい。
- 代表作3(若いころのファルーカ): カナル・スル公式アーカイブの『Rubén Olmo baila una falsa farruca』(2010年12月27日放送、約2分半)。国立バレエ団の監督になる9年前、30歳の踊りで、まっすぐな線と止まる瞬間の美しさを見たい。
- 技法と比較: スペイン舞踊とクラシック・バレエを学校で修めたうえでフラメンコを踊るのが、ほかのバイラオールとの違い。国立バレエ団の公式映像には、彼がカスタネット(パリージョ)とサパテアードを教える授業もある。同団は1978年、アントニオ・ガデス(9月15日・10月11日のバイレ列伝)を初代監督に生まれ、アカデミックな舞踊、様式化された舞踊、民俗舞踊、エスクエラ・ボレーラ(18世紀からの宮廷風の舞踊)、フラメンコを守り伝えることを目的に掲げる。オルモはその全部を一人で踊れる監督である。『インボカシオン』では、マリオ・マジャへの敬意を込めた『デ・ロ・フラメンコ』を組み込んだ。
- 本人の言葉: 2019年の国立バレエ団の映像では、「フラメンコとコンテンポラリーは一つになる定めだった。その結びつきは気まぐれではなく、どうしても必要なものだ」と語っている。2026年5月、マドリード近郊レガネスのカルロス3世大学で、10月25日のカンテ列伝のエスペランサ・フェルナンデスを歌に迎えて『恋は魔術師』を作り直したときは、「愛は支配できない。自由に流れさせなければ」と説明した。
- いま: 11月13日にバダホスで開かれるハレオス・エストレメーニョスの国際舞踊コンクールで、クリスティナ・オヨスらと審査員を務める。2021年にはセビリアの「市の愛し子(イホ・プレディレクト)」に選ばれた。
- 見はじめ: 『ジャウレーニャ』でオーケストラと踊る総監督の顔を、次に『タラント』でフラメンコの踊り手の顔を見ると、一人の中にある二つの言葉がよく分かる。
フラメンコカンテ列伝
- 今日の一人: ニーニャ・パストーリ(Niña Pastori、本名マリア・ロサ・ガルシア・ガルシア)。1978年1月15日、カディス県サン・フェルナンド(ラ・イスラ)生まれ。いまはエル・プエルト・デ・サンタ・マリアに住む。
- 生い立ちと家系: スペイン語版ウィキペディアによると、母はヒターノのアマチュアの歌い手パストーラ・ガルシア「パストーリ・デ・ラ・イスラ」、父は軍人のホセ・ガルシア。5人きょうだいの末っ子で、ただ一人の娘。芸名は「パストーリのところの娘」という意味である。カナル・スルの紹介では、ロタの「ネグロ・デ・ロタ」のひ孫で、「イネス・ラ・デル・ペラオ」の孫。4歳ごろから母について歌い、8歳で初めて舞台に立ち、サン・フェルナンドのペーニャ「エル・チャト」のブレリアのコンクールで優勝した。
- 転機1(12歳、カマロンに見いだされる): 12歳のとき、同じサン・フェルナンド生まれのカマロン・デ・ラ・イスラが、カディスのテアトロ・アンダルシアで彼女を紹介し、舞台で一緒に歌うよう招いた。2023年のエル・デバテ紙のインタビューでは「子どものわたしを見て、カマロンが後押ししてくれたのは、とても美しいことで、大きな幸運だった」と語っている。
- 転機2(マドリードでデビュー、1996年): マドリードで制作者パコ・オルテガに見いだされ、アレハンドロ・サンスもかかわった。1995年に録音したデビュー盤『エントレ・ドス・プエルトス(二つの港のあいだ)』を1996年に出した。2000年の『カニャイーリャ』には、サンスがカディスに捧げて書いた「カイ」を収めた。
- 転機3(夫と作る歌、2002年〜): 1998年から交際した作曲家・打楽器奏者のフリオ・ヒメネス「チャボリ」(ロス・チチョスのヘロスの息子)と2002年12月21日に結婚。カナル・スルの紹介によると、同じ2002年の『マリア』から、夫と二人で大半の曲を書くようになった。スペイン語版ウィキペディアによると、ラテン・グラミー賞の最優秀フラメンコ・アルバムは、2009年の『エスペランド・ベルテ』、2011年の『ラ・オリージャ・デ・ミ・ペロ』、2016年の『アマメ・コモ・ソイ』、2023年の『カミーノ』の4度受けた(2014年には『ライス』で最優秀フォーク・アルバムも)。2018年にはアンダルシア・メダルを受けている。
- 代表作1(10歳の公式映像): カナル・スル公式アーカイブの『Niña Pastori: Alegrías (1989)』(1989年9月1日放送、約5分)。番組の説明では10歳で、初めてのカナル・スル出演。カディスの祝いの歌アレグリアスを、子どもの声で節回しを崩さず歌い切るところを聴きたい。
- 代表作2(20歳のブレリア): 同じく公式の『Niña Pastori por bulerías』(1998年4月21日放送、約7分)。2作目『エレス・ルス』の表題曲を、パコ・フェルナンデスのギターでブレリアに乗せる。12拍の中で言葉を前へ詰めたり後ろへ遅らせたりする、声の遊びに注目したい。
- 代表作3(カディスの歌): 本人公式の『Niña Pastori - Cai (Videoclip)』(約4分半)。サンスが書いた歌で、「明け方のカディスは潮の香り」と始まり、「中庭の植木鉢のあいだを、風がタンゴで口笛を吹く」と続く。ポップの歌の中で、語尾をフラメンコの節回しで揺らすところを聴きたい。
- 声と比較: カナル・スルの紹介は、彼女を「フラメンコの純粋な声と新しい音楽の流れを、誰よりもうまく結びつけた歌い手」と書く。同じラ・イスラ出身のカマロンが、伝統の歌の型そのものを新しい声で塗り替えたのに対し、パストーリはアレグリアスやブレリア、タンゴといったカディスの歌の節回しを、ポップやラテンの曲の中へ持ち込んだ。本人は「心が大事。内側から表すこと」と言い、「フラメンコはわたしたちの音楽。知識と敬意からしか主張できない」とも語る。
- いま: 2026年は、ニューヨークのサルサの名門レーベル「ファニア」の曲を歌った新作『カラー・ファニア』を出した。2025年から2026年にマイアミとスペインで録音し、制作はコロンビアのカスタ。エクトル・ラボーの歌った「ペリオディコ・デ・アジェール」が最初の曲で、本人は「フラメンコとサルサは兄弟」と話す。公演は12月6日にバレンシアのロイグ・アリーナ、2027年3月12日にバルセロナのリセウ大劇場、4月15日にマドリードの王立劇場。ラテン・レコーディング・アカデミーは、2026年の「エンターテインメントの主役の女性たち」の一人に選んだ。
- 聴きはじめ: 10歳の『アレグリアス』と、20歳の『ブレリア』を続けて聴くと、カマロンが何を聴き取ったのかが分かる。
フラメンコギター工房だより
- 今日の工房: アルハンブラ・ギターラス(Alhambra Guitarras)。アリカンテ県ムロ・デ・アルコイにある、クラシック・ギターとフラメンコ・ギターのメーカー。全履歴を照合し、工房だよりでは未紹介(10月21日のカンテ列伝で、同社の楽器に触れただけ)。
- 始まり: 同社の公式サイトとアリカンテ・プラサ紙(2025年9月21日)によると、1960年代初め、フランシスコ・マルティネス・クラベルが、ムロの小さな家具工房を営むリカルド・ジョレンスとホセ・マリア・ビラプラナに、スペイン式クラシック・ギターの試作を持ちかけた。それが売れて「マヌファクトゥラス・ハチ」が生まれ、1965年6月14日に新しい仲間を加えて「マヌファクトゥラス・アルハンブラ」となった。仲間の一部は繊維業の出身で、アルコイの資本が入った。
- いまの姿: 2025年に創業60年。職人は100人を超え、70を超える国に楽器を送る。6つの家族の18人を超える出資者が持つ「多家族経営」で、会長のホセ・ボテジャは3代目から4代目へ移るところだと話す。製作の責任者は親方の製作家ハビエル・メングアルで、ホセ・マルガリットと並ぶ。
- 工程: シダー、スプルース、黒檀、ローズウッド、シープレスを産地で一枚ずつ選び、地元のオリーブ材も使う。木は自然乾燥させ、プラスチックや合成素材は使わない。組み立て、塗装、研磨の後に音の調整と検査をし、1本ずつ通し番号をつける。最高経営責任者のバレリアー・トレグロサは「機械は競争力を保つ助けになる」と言い、手仕事と機械を組み合わせている。
- フラメンコとのつながり: 今日のギタリスト列伝のカルロス・ピニャーナと組んだ「Fp ピニャーナ」の2機種を出し、親方2人の名を冠した「メングアル・イ・マルガリット」をピニャーナが舞台で弾く。2017年に始まったナルシソ・イエペス国際ギター祭も、同社が支えた。アンダルシアの外、バレンシア州の内陸の町で、世界向けのフラメンコ・ギターが作られている。10月26日に紹介したトレンテのプルデンシオ・サエスと同じ州である。
フラメンコのパロ解説
- 今日のパロ: ペテネーラ(Petenera)。9月24日に短く扱ったが、そのときはコンパスを「シギリージャに近い」と説明していた。今日は、ムルシア高等音楽院のギジェルモ・カストロ・ブエンディアが8つの録音を採譜した論文「エル・モチュエロのペテネーラから、チャコンとニーニャ・デ・ロス・ペイネスのペテネーラへ」(ムルシア大学の研究誌)を軸に、改めて7つの要素で掘り下げる。
- 起源と歴史(諸説): スペイン語版ウィキペディアによると、最も古い記録は1823年のメキシコのコリセオ劇場のポスターで、踊りの曲として載っている。スペインでは1826年、カディスで「ベラクルス風またはアメリカ風のペテネーラ」が踊られた広告を、研究者ファウスティーノ・ヌニェスが見つけた。名の由来は、カディス県パテルナ・デ・リベラの歌い手「ラ・ペテネーラ」説、グアテマラのペテン地方説、セファルディ(スペインを追われたユダヤ人)の歌の説があり、どれも決め手はない。スペインからアメリカへ渡り、変わって戻った「行って帰った歌(イダ・イ・ブエルタ)」とみる研究者もいる。作家エステバネス・カルデロンは1847年の本で「言いようのない憂いの声」と書いた。
- フラメンコの形になるまで: カストロ・ブエンディアによると、フラメンコのペテネーラを最初に形にしたのは、1860年ごろヘレスのサンティアゴ地区に生まれた歌い手メディナ・エル・ビエホ。孫のニーニョ・メディナが長い「ペテネーラ・グランデ」へ育て、アントニオ・チャコンがそれを飾り豊かにした。ニーニョ・メディナから兄アルトゥーロ・パボンを通じて習ったニーニャ・デ・ロス・ペイネスが、自分の型に仕上げて広め、いまもいちばん歌われている。20世紀初めまでは速い踊りの曲で、エル・モチュエロの録音にはカスタネットが入る。
- コンパス(拍子): 6/8拍子と3/4拍子を合わせた12拍で、ウィキペディアの数え方では「1、2、3、1、2、3、1、2、1、2、1、2」。3拍が2つ、2拍が3つ続き、太字の頭にアクセントが来る。短い「ペテネーラ・チカ」はパルマに合わせて踊れるが、長い「グランデ」は踊らない。カストロ・ブエンディアの採譜では、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスやチャコンの型は前半がほぼ自由なリズムで、7つ目の節からこの12拍に戻る。
- 調性とコード進行: 同じ論文によると、もとはAマイナー(Am)の短調。Am → E → Am と主和音と属和音で調を固め、続く節でG → F → Eと下りてEで半分止まる。いわゆるアンダルシア終止である。途中の5〜6番目の節で、平行調のCとその手前のGへ明るく抜けるのがペテネーラらしさ。20世紀が進むにつれてEで終わる響きが強まり、Eを主音とする「フラメンコのフリギア旋法」に近づいた。1903年のラ・ルビアの録音は9フレットにカポタストを付け、実際の音はF♯マイナー。カポの位置は歌い手の声に合わせて変わる。
- レトラの形式とテーマ: 8音節4行の詩が基本で、偶数行で韻を踏む。そこに「マレ・デ・ミ・コラソン(わが心の母よ)」のような叫びを足して5行にする。テーマは悲しい恋や死、運命。ニーニャ・デ・ロス・ペイネスの「キシエラ・ヨ・レネガール」は、この世をすっかり捨てて新しい世界に住み直し、そこでもっと真実を探したい、と歌う。古いメディナの型を伝えるラファエル・ロメーロの短いペテネーラには「どこへ行くの、美しいユダヤの娘」というレトラがあり、セファルディ説の根拠の一つにもなった。
- 迷信: 歌っても踊っても不幸を招くと長く信じられ、フラメンコ・マラガの解説によると、多くのヒターノの歌い手が歌うのも聴くのも避けた。
- 聴きどころ(カンテ・バイレ・ギター): カンテでは、各節の終わりでEへ「落ちる」瞬間と、Cへ抜けて少し明るくなる瞬間の対比。ギターでは、12拍のうち6拍目のあとの2拍ずつの刻み。バイレでは、叫びの1行が入るところで踊り手が動きを止め、腕だけで歌を受ける場面。
- 代表録音1(いちばん歌われる型): 公式配信の『Quisiera Yo Renegar (Petenera)』(ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、約3分。配信のクレジットではギターはマノロ・デ・バダホス)。前半の拍の見えない長い節と、後半で12拍が戻ってくるところを聴き分けたい。
- 代表録音2(チャコンの型): 公式配信の『Yo he visto a un niño llorar (Peteneras de Chacón)』(エンリケ・モレンテ、ギターはペペ・アビチュエラ、1977年『…イ・アル・ボルベール・ラ・ビスタ・アトラス』より、約3分半)。昨日のカルタヘネーラと同じアルバムで、チャコンの形を伝える録音として論文も採譜している。ニーニャ・デ・ロス・ペイネスの型と、6番目の節の旋律の違いに注目したい。
- 代表録音3(踊りのペテネーラ): カナル・スル公式アーカイブの『Manuela Vargas y Enrique Morente por peteneras』(1993年10月19日放送、約9分半)。踊り手マヌエラ・バルガスに、モレンテが歌い、ペペとフアンのアビチュエラ兄弟がギターを弾く。バルガスは1983年に自分の舞踊団で『ペテネーラと南』を初演した人で、歌の長い節のあいだに、腕と上体だけで間を保つところが見どころ。
- 似たパロとの聴き分け: グアヒーラ(10月2日)も同じ6/8+3/4の12拍だが、長調で明るい。ペテネーラは短調で、節の終わりがEへ沈む。ソレアは同じEへの終止を持つが、アクセントは3、6、8、10、12拍目で、Amの主和音に戻る感覚がない。
まとめ
- 2026年11月4日。「遅くてもしないよりまし」の日に、早く見いだされた才能と、長い道のりをたどった。80代でセルバンテス賞が届いた短編作家と、2度目の事故の後にようやく辞めた運輸相。鉱山の歌の家に生まれ、20歳で頂点に立ってから30年、オーケストラと教室へ道を広げたカルロス・ピニャーナ。9歳で舞踊学校に入り、国立バレエ団を率いるルベン・オルモ。12歳でカマロンに見いだされ、いまはサルサを歌うニーニャ・パストーリ。家具工房から60年で世界へ出たアルハンブラ・ギターラス。そして、200年かけて大西洋を往復したと言われるペテネーラ。
参考ソース
- 国内: RTVC「Óscar Puente anuncia su dimisión como ministro de Transportes」(2026年11月3日) https://rtvc.es/oscar-puente-anuncia-su-dimision-como-ministro-de-transportes-3-noviembre-2026/
- 国内: Alicante Plaza「Puente dimite como ministro y candidato del PSOE」(2026年11月3日) https://alicanteplaza.es/alicanteplaza/espana/puente-avanza-su-dimision-tras-la-tragedia-de-urda-es-una-decision-de-empatia-con-las-victimas
- 文化: Ara「The Barcelona writer Cristina Fernández Cubas wins the Cervantes prize 2026」(2026年11月3日) https://en.ara.cat/culture/cristina-fernandez-cubas-wins-the-cervantes-prize-2026_1_5899166.html
- 文化: Diari de Tarragona「La escritora catalana Cristina Fernández Cubas gana el Premio Cervantes 2026」(2026年11月3日) https://www.diaridetarragona.com/cultura/274798/escritora-catalana-cristina-fernandez-cubas-gana-premio-cervantes-2026.html
- 文化: ExpoFlamenco「Rocío Molina, a leading figure in the arts at the Culture Awards」(2026年11月3日) https://expoflamenco.world/magazine/Rocio-Molina--a-leading-figure-in-the-arts-at-the-culture-awards/
- フラメンコ: ExpoFlamenco「Six artists from Spain, Argentina and France will compete in Badajoz for the Jaleos Extremeños Competition」(2026年11月3日) https://expoflamenco.world/magazine/Six-artists-from-Spain--Argentina-and-France-will-compete-in-Badajoz-for-the-Extremadura-jaleo-contest/
- フラメンコ: ExpoFlamenco「Andalucía celebra el Día del Flamenco con más de cien actividades y un homenaje a Camarón de la Isla」(2026年11月4日) https://expoflamenco.world/magazine/andalucia-celebra-el-dia-del-flamenco-con-mas-de-cien-actividades-y-un-homenaje-a-camaron-de-la-isla/
- フラメンコ: Guía Flama「Amazon Music inaugura el 'Mes del Flamenco' con el Track by Track de Niña Pastori」(2026年11月4日) https://www.guiaflama.com/noticias/amazon-music-inaugura-el-mes-del-flamenco-con-el-track-by-track-de-nina-pastori/
- ギター: World Music Central「Artist Profiles: Carlos Piñana」 https://worldmusiccentral.org/artist-profiles-carlos-pinana/
- ギター: Alhambra Guitarras「Carlos Piñana」(2025年4月29日) https://alhambraguitarras.com/blogs/artistas-alhambra/carlos-pinana-espana
- ギター: deflamenco.com「Carlos Piñana – Mundos flamencos」(2003年10月19日) https://deflamenco.com/revista/mas-flamenco/carlos-pinana-mundos-flamencos-1.html
- ギター: deflamenco.com「Encarnación Fernández & Carlos Piñana with the Orquesta de la Región de Murcia at the Cante de las Minas」 https://www.deflamenco.com/revista/resenas-actuaciones/encarnacion-fernandez-carlos-pinana-with-the-orquesta-de-la-region-de-murcia-at-the-cante-de-las-minas-1.html/amp
- ギター: Ayuntamiento de Málaga「Carlos Piñana, en el Teatro Echegaray」(2017年) https://malaga.eu/visorcontenido/ANUDocumentDisplayer/171000/NOTAINFORMATIVA.pdf
- ギター: Austin Classical Guitar「Flamenco Summer Workshop 2026」 https://austinclassicalguitar.org/flamenco-summer-workshop-2026/
- バイレ: Wikipedia「Rubén Olmo」 https://es.wikipedia.org/wiki/Rub%C3%A9n_Olmo
- バイレ: Ballet Nacional de España「El amor brujo」プレスリリース(2026年5月13日) https://balletnacional.inaem.gob.es/es/sala-de-prensa/temporada-2025-2026/gira-el-amor-brujo-leganes/np_elamorbrujo_uc3m_2026.docx
- カンテ: Wikipedia「Niña Pastori」 https://es.wikipedia.org/wiki/Ni%C3%B1a_Pastori
- カンテ: El Debate「Niña Pastori: el flamenco es nuestra música…」(2023年4月30日) https://www.eldebate.com/cultura/musica/20230430/nina-pastori-flamenco-nuestra-musica-solo-puede-reivindicar-desde-conocimiento-respeto_111074.html
- カンテ: Canal Sur「Somos Música: El día que Niña Pastori pasó con Camarón」(2025年) https://www.canalsur.es/television/programas/somos-musica/noticia/2127197.html
- カンテ: Roig Arena「Niña Pastori presenta el 6 de diciembre su nuevo espectáculo Color Fania」(2026年9月1日) https://www.roigarena.com/en/news/nina-pastori-presenta-6-diciembre-sala-auditorio-nuevo-espectaculo-color-fania-/
- 工房: Alhambra Guitarras「Our origins」 https://www.alhambraguitarras.com/en/our-origins
- 工房: Alicante Plaza「Así es Alhambra Guitarras: 60 años de música artesana internacional desde Muro」(2025年9月21日) https://alicanteplaza.es/alicanteplaza/alcoy-el-comtat/asi-es-alhambra-guitarras-60-anos-de-musica-artesana-desde-muro
- パロ: Guillermo Castro Buendía「De la Petenera del Mochuelo a la de Chacón y la Niña de los Peines」(ムルシア大学 La Madrugá) https://revistas.um.es/flamenco/article/download/83861/80811/343141
- パロ: Wikipedia「Petenera」 https://es.wikipedia.org/wiki/Petenera
- パロ: Flamenco Málaga「Petenera or peteneras: origin and meaning」 https://flamencomalaga.com/en/blog/petenera-or-peteneras-origin-and-meaning/