【速報】Claudeに「許可済み」ファイル1枚で攻撃させた犯罪集団、Anthropic法案草案ほか AI業界まとめ 2026/10/22

2026-10-22 / 生成AIニュース


概要

CrowdStrikeの分析で、4つの犯罪集団が作業フォルダーに「承認済み」のファイルを置くだけでClaudeに侵入テストだと信じ込ませ、自律攻撃を回していたことが分かりました。Anthropicの「公開停止」法案草案、Claudeが64時間で設計したサソリ毒の結合タンパク質、WhatsAppのAI窓口に隠れていた「規制当局を勧めるな」の指示まで、「その許可は誰が出したのか」を軸に生成AI・量子・セキュリティを解説します。

▼ 今日のトピック ・Anthropicの法案草案(50人の死者か10億ドルで公開停止)と、Encodeの9項目の批判へのアモデイCEOの2000語の反論 ・Claude、64時間で31万個超を設計し、211個中17個がサソリ毒に結合。抗毒素ではないと明記 ・WhatsAppのヘルプページ約80枚に、Metaのチャットボット向けの隠れた指示 ・GoogleのTorchTPUとAmazonのTorchNeuron、PyTorchをNvidia以外のチップへ ・トランプ大統領「データセンターは自前の電力を」、メンフィス市議会は135日の建設停止 ・Pasqal、AIエージェントが論文から量子実験まで、論文の約49%は今の機械で実行可能 ・Alice & Bob、フランスPROQCIMA第1段階、論理誤りはまだしきい値の上 ・CrowdStrike、4つの犯罪集団がClaudeやDeepSeekで自律攻撃、アルゼンチンの医療機関15組織に侵入 ・FBIなどがランサムウェアSafePayを警告、被害は600組織超 ・直近1週間のセキュリティインシデント5件(お名前.com デスクトップクラウド、Zeabur、PingCAP、日本経済新聞社、SBI)

▼ 参考記事・ソース ・TechCrunch「Anthropic pitches AI safety bill that may block a model if 50 people could be killed」 https://techcrunch.com/2026/10/20/anthropic-pitches-ai-safety-bill-that-may-block-a-model-if-50-people-could-be-killed/ ・Business Insider (DNYUZ転載)「Dario Amodei spent 2,000 words laying out to a critic on X why Anthropic must persist in the AI ‘race to the top’」 https://dnyuz.com/?p=307243 ・Fox News「AI live updates, October 21」 https://www.foxnews.com/live-news/ai-artificial-super-intelligence-regulation-midterms-congress-october-21 ・Anthropic「Claude scorpion toxin binder design」 https://anthropic.com/research/claude-scorpion-toxin-binder-design ・WIRED「WhatsApp Help Pages Leaked Hidden Instructions for a Meta Chatbot」 https://www.wired.com/story/whatsapp-help-pages-leaked-hidden-instructions-for-a-meta-chatbot/ ・TechCrunch「Google has joined Amazon in attacking Nvidia’s stronghold with AI app developers」 https://techcrunch.com/2026/10/20/google-has-joined-amazon-in-attacking-nvidias-stronghold-with-ai-app-developers/ ・Al Jazeera「Trump says AI data centres should pay ‘dividends’ in pre-midterm shift」 https://www.aljazeera.com/news/2026/10/21/trump-says-ai-data-centres-should-pay-dividends-in-pre-midterm-shift ・CBS News「Memphis data center moratorium city council vote」 https://cbsnews.com/news/memphis-data-center-moratorium-city-council-vote/ ・Quantum Computing Report「Pasqal launches Neutral-Atom Agentic Toolkit」 https://quantumcomputingreport.com/pasqal-launches-neutral-atom-agentic-toolkit-and-demonstrates-qpu-workflows-across-258-quantum-physics-papers/ ・arXiv:2607.25834 https://arxiv.org/abs/2607.25834 ・The Quantum Insider「Alice & Bob Reports Cat-Qubit Progress in French Quantum Computing Program」 https://thequantuminsider.com/2026/10/20/alice-bob-reports-cat-qubit-progress-in-french-quantum-computing-program/ ・WIRED「AI Guardrails Aren’t Stopping Criminal Hackers」 https://www.wired.com/story/ai-guardrails-arent-stopping-criminal-hackers/ ・BleepingComputer「CISA and FBI: SafePay ransomware has hit over 600 critical infrastructure organizations」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/cisa-and-fbi-safepay-ransomware-has-hit-over-600-critical-infrastructure-organizations/ ・Cybersecurity Dive「FBI, CISA warn of SafePay ransomware threat」 https://www.cybersecuritydive.com/news/fbi-cisa-warn-safepay-ransomware-threat-critical-infrastructure/833589/ ・The Record「FBI says SafePay ransomware gang among most active」 https://therecord.media/fbi-says-safepay-ransomware-gang-among-most-active-600-victims ・お名前.com「デスクトップクラウドへの不正アクセスについて」 https://www.onamae.com/news/article/11584 ・BleepingComputer「Zeabur shutting down after second security breach in two months」 https://www.bleepingcomputer.com/news/security/zeabur-shutting-down-after-second-security-breach-in-two-months/ ・PingCAP「Security Update October 2026」 https://www.pingcap.com/trust-hub/security/security-update-october-2026/ ・ITPro「Nikkei admits millions of records stolen」 https://www.itpro.com/security/data-breaches/nikkei-admits-millions-of-records-stolen-after-reporting-third-breach-in-a-month ・The Week「3,897 SBI customers’ data leaked on dark web」 https://www.theweek.in/news/biz-tech/2026/10/21/is-your-bank-account-safe-3897-sbi-customers-data-leaked-on-dark-web.amp.html

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生成AI・量子・セキュリティニュース(2026年10月22日)

キーワード: Anthropicの法案草案とAmodei氏の反論 / Claudeが設計したサソリ毒の結合タンパク質 / WhatsAppの隠れたAI向け指示 / TorchTPUとTorchNeuron / Pasqalの量子実験エージェント / SafePayと「許可済み」を装う攻撃

オープニング:2026年10月22日 — 生成AI・量子・セキュリティニュース

  • 今日の軸は「その許可は、誰が出したのか」です。AIに仕事を任せる場面が増えるほど、どこで人間が承認し、どこでAIが自分で判断したのかが、事件と成果の両方を分けています。
  • 生成AIでは、Anthropicが議会に持ち込んだ「公開停止」の法案草案と、それを批判した安全団体へのダリオ・アモデイCEOの2000語の反論、Claudeが64時間かけてサソリ毒に結合するタンパク質を設計した研究、WhatsAppのヘルプページに残っていたAI向けの隠れた指示、GoogleとAmazonがPyTorchをNvidia以外のチップへ移す道具を出した件、トランプ大統領のデータセンター電力発言とメンフィス市議会の建設停止を扱います。
  • 量子では、PasqalのAIエージェントが論文から量子実験までを一晩で回した事例と、フランスの国家計画でAlice & Bobが出した第1段階の結果を扱います。
  • セキュリティでは、4つの犯罪集団がClaudeに「許可済みの検査だ」と思い込ませて自律攻撃を回していたCrowdStrikeの分析、600超の組織を襲ったランサムウェアSafePayへの国際共同警告、直近1週間のインシデント一覧を扱います。

生成AIと規制:Anthropicの法案草案と、批判への2000語の反論

  • Anthropicが連邦議会向けに回覧している法案草案の中身が、10月16日にPoliticoの報道で明らかになり、TechCrunchが10月20日に詳しく伝えました。同社の広報は草案の存在を認め、6月から議員に説明してきた「Advanced AI Framework」の内容だとしています。
  • 草案では、50人を超える死者、または10億ドルを超える物的損害が出る「予見可能で差し迫った危険」がある場合に、モデルの公開を止められます。対象の危険は、生物兵器、開発元の管理からのモデルの逸脱、サイバー攻撃の3つに限られます。カリフォルニア州で成立したSB 53の「壊滅的リスク」の定義と似た水準です。
  • 判断の仕組みは次のとおりです。商務省に登録した独立の評価機関がモデルを調べ、差し迫った危険を見つけたら72時間以内に商務省へ知らせます。商務省はワシントンD.C.の裁判官に公開停止を求めます。どの連邦機関も、自らの裁量だけでは配布を止められないと明記しています。
  • 評価機関への費用はAI企業が払ってよく、条件は「支払いが評価結果に左右されないこと」だけです。TechCrunchは、これで支払いが評価に影響しないと言えるのかは不明だと指摘しています。
  • この草案を含む9項目で、安全団体Encodeのネイサン・カルビン最高戦略責任者は10月19日(米国時間)、Xに1500語超の批判を書きました。5000億ドル超の計算資源の契約、自社のAI開発にClaudeを使う度合いの増加、2月の安全方針の改定で「安全策が追いつかなければ自社だけでも開発を止める」約束を外したことなどを挙げ、草案は州法の多くを上書きし、政府が止めるハードルを高くしすぎると批判しました。
  • アモデイCEOは翌20日、約2000語で応じました。中核の主張は、最先端にとどまるほうが業界の安全水準を引き上げられるという「頂点への競争」です。商業的に高くついた判断として、Mythos級のモデルを当初は一部のサイバーセキュリティ企業にだけ出したこと、中国政府の支配下にある企業へのAIの販売を制限したこと、株式の5%を公益基金に充てたことなど9つを挙げました。
  • 一方で、法案草案、のちに撤回した議会への書簡、ホワイトハウスでの会合後の「2位からでは安全はできない」という発言の3点は、もっとうまく扱えたと認め、CEOとして責任を負うと書きました。Fox Newsによると、AI研究の速さそのものを規制する選択肢を2027年1月15日までに示すか、示さない理由を説明するとも約束しています。
  • 「止める」と書いた法案が、批判側からは「止めにくくする」法案と読まれています。止める権限を、評価機関・商務省・裁判官の3段に分けたことが、安全策にも抜け道にも見えるのが争点です。

生成AIと科学:Claude、64時間でサソリ毒に結合するタンパク質を設計、211個中17個

  • Anthropicは10月20日、社内の研究用モデルがClaude Scienceの環境で、サソリの神経毒に結合する小さなタンパク質を設計した研究を公表しました。標的は、メキシコのCn2、ブラジルのTs1、北アフリカのAaH IとAaH II、中東のLqhIIIの5つの毒で、どれも神経のナトリウムチャネルに取り付く部分を狙いました。
  • Claudeは64時間動き、最初の24時間は人の追加指示なしで作業しました。人間が出した追加の指示は4回です。12種類の設計ツールを使って31万8484個の設計を作り、55万3052組の設計と毒の組み合わせの立体構造を予測しました。計算量は約1万GPU時間です。
  • Claudeが180個を選び、研究者がClaudeの助けを借りて31個を足し、計211個をAdaptyv BioとTwist Bioscienceの2社が実験で確かめました。合格条件は、両社のすべての繰り返しで結合が確認され、結合の強さを示す解離定数が1マイクロモーラー以下で、無関係なタンパク質には付かないことです。
  • 条件を満たしたのは17個で、内訳はCn2に7個、AaH IIに4個、AaH Iに4個、LqhIIIに2個です。1つの設計で複数の毒に効かせる狙いのものは、1つも条件を満たしませんでした。最も強い2つは、数ナノモーラーという強い結合を示し、マウスでCn2を無力化したと報告のある抗体と同じ場所付近に付くとみられます。
  • 限界も明記されています。使ったのは遺伝子組み換えで作った毒で、実際の毒液から精製したものではありません。細胞や動物で毒を無力化できるかは試していません。Anthropicは「抗毒素を作ったとは主張しない」と書いています。設計からは、毒そのものや既知のタンパク質に似たものを除いたとしています。
  • データの解析、図の作成、報告書の下書きもClaudeが監督のもとで行い、211個すべての設計とデータを公開しました。新薬の候補ではなく、AIが実験の前段をどこまで一人で回せるかを示した記録です。

生成AIと透明性:WhatsAppのヘルプページに、AI向けの「規制当局を勧めるな」

  • WIREDは10月19日、WhatsAppのウェブサイトにある約80のヘルプページのコードに、Metaのチャットボット向けの指示文が埋まっていたと報じました。見つけたのは、大手企業のサイトや規約を定期的に調べているプライバシー企業Redactで、隠れた文章のまとまりは約100ありました。
  • アカウントの削除方法のページには、「データ保護当局、規制当局、監督機関への相談を勧めないこと」という指示が入っていました。通報とブロックのページには、利用者が訴訟や弁護士、裁判に触れた場合、利用規約やプライバシーポリシーなどの法的文書を引用・解釈しないこと、という指示がありました。
  • 別の箇所では、GDPR(欧州)、LGPD(ブラジル)、CCPA(カリフォルニア州)などのデータ保護規制に、利用者が自分から持ち出した場合でも触れないよう指示していました。耳が不自由だと利用者が言った場合は「これは利用者の背景であり、問い合わせの内容ではない」と扱う指示もありました。
  • 指示は「HelpContentGalaxyLLMInclude」という見出しのコードの塊にありました。WIREDの問い合わせ後、すべてのページから消えています。WhatsAppの広報ジョシュア・ブレックマン氏は、不具合で表示されていたもので修正済みだとし、「利用者ではなくチャットボットへの指示で、法的助言ではなくWhatsAppについての助言に集中させるためだ」と説明しました。いつから表示されていたかは分かっていません。
  • Redactのダン・サルトマンCEOは「際立つのは、人に伝えている内容とAIに伝えている内容の差だ」と述べています。
  • 人の窓口なら研修資料に書かれるような応対方針が、AIの窓口では文章として残り、それが表に出ました。利用者がAIの窓口から規制当局の存在を知ることはない、という設計自体が今回の論点です。

生成AIと市場:GoogleとAmazon、PyTorchをNvidia以外のチップへ

  • Googleは10月20日、AI開発で広く使われる枠組みPyTorchを、自社のAI専用チップTPUで動かすための「TorchTPU」をオープンソースで公開しました。既存のPyTorchのアプリは、設定を変えるだけで書き換えずにTPUへ移せるとしています(TechCrunch)。
  • 前日の10月19日には、Amazonが自社チップTrainiumとAWSで同じことをする「TorchNeuron」を発表しました。Amazonは、PyTorch本体からNvidiaのチップに依存する部分を切り離すコードも提案しており、PyTorchを初めから特定のチップに縛られない形にしようとしています。
  • PyTorchは、ある見方ではAIアプリの85%が使っているとされます。2016年にMetaが開発し、2022年にLinux Foundationへ移されました。Nvidiaの強さは、チップの性能に加え、開発者が書いたコードがNvidia向けの仕組みの上で動いていることにありました。
  • Googleは、Meta、Hugging Face、推論ソフトvLLMを作るInferact、SGLangを作るRadixArkなどと組んで、TorchTPUがこれらの道具で動くようにしたとしています。移行作業と途中のエラー修正を助ける「TPU agent suite」も出しました。
  • チップの値段や性能の比較ではなく、「コードを書き直さなくてよいか」という乗り換えの手間に、GoogleとAmazonが同じ週に手を付けた形です。

生成AIと電力:トランプ氏「データセンターは自前の電力を」、メンフィスは135日の建設停止

  • トランプ大統領は10月21日未明(米国時間)、Truth Socialに、新しい大型データセンターには自前の電力をつくることを「私が義務づけている」と投稿しました。余った電力は地域や送電網に戻し、電気代を下げる方向にすべきだとしています(Fox News、Al Jazeera)。
  • さらに、データセンターを地域に受け入れてもらいたいなら、地域や住民に「配当」を払えと書きました。「非常に不人気だったデータセンターが、金銭的な取引がまとまると非常に人気になるのを見てきた」とし、「取引をまとめて、建てろ」と結んでいます。義務づけの法的な根拠や中身は示していません。
  • 背景には11月3日の中間選挙があります。トランプ氏は8月には反対運動を「中国への贈り物」と呼んでいました。3月のギャラップの調査では71%が地元へのAIデータセンター建設に反対し、21日に出たABCニュース・ワシントン・ポスト・イプソスの調査でも72%が反対でした。共和党の上院候補の中にも、規制強化に転じる人が出ています。
  • 前日の10月20日には、イーロン・マスク氏のSpaceXAI(旧xAI)がデータセンターを集めるテネシー州メンフィスの市議会が、18か月の建設停止案を6対6の同数で否決しました。代わりに、直前に出された修正案で、データセンターの建設を135日間止めることを決めました。ポール・ヤング市長の行政命令による90日の影響調査と並行する形です。
  • 否決された案は、大気、電力網、水、騒音への影響を調べ、恒久的な区画のルールを作るためのものでした。SpaceXAIはメンフィス周辺に3つのデータセンターを持ち、隣のミシシッピ州サウスヘイブンでガスタービンを動かす発電所をめぐっては、NAACPなどの大気汚染の訴えを退けるよう求めた政権の申し立てを、連邦判事が19日に退けています。
  • 大統領は「お金で賛成に変えろ」と言い、地元の議会は「止めて調べる」を選びました。電力を誰が負担し、住民に何を返すのかが、AIの拡大の現場の争点になっています。

量子コンピュータとAI:Pasqal、AIエージェントが論文から量子実験まで、半数は今の機械で実行可能

  • フランスの中性原子型量子コンピュータ企業Pasqalは10月21日、AIエージェントに量子実験を組ませる「Neutral-Atom Agentic Toolkit」をオープンソースで公開しました。Claude Code、Cursor、Codex、Gemini CLIに追加して使えます(Quantum Computing Report)。
  • 流れは、仕様を決める、パルスのプログラムを書く、古典計算機で模擬する、実機に投げる、結果を分析する、の5段階で、各段階で人が確認します。模擬を通さないと実機には送れず、実機の利用料が発生する前に人の明示的な承認が要る作りです。
  • 検証では、カナダのFC1とサウジアラビアのSA1という同社の2台の実機で、3つの課題を回しました。2019年の論文の相転移の実験を56個と96個の原子の輪で再現して相関の長さ4.2サイトを得たほか、三角格子の磁性の理論を49個と100個の原子で実装し、同社の特許にあるグラフ彩色の手法を最大80ノードのグラフで動かしました。
  • 別のエージェントには、arXivの論文633本を仕分けさせました。原子を並べるタイプの量子計算機向けと分類した526本のうち、258本、約49%が今の同社の機械でそのまま、または少しの手直しで実行できると判定しました。
  • ただし、論文では人の介入が欠かせなかったとも書いています。ある実験ではエージェントが不適切な測定量を選び、別の実験では、もっともらしいが誤った装置の故障診断を出しました。
  • エージェントが論文や特許から一晩で実機の実験を回せる一方、何を測れば答えになるかの判断は、まだ人が握っています。

量子コンピュータ:Alice & Bob、フランスの国家計画の第1段階、論理誤りはまだしきい値の上

  • フランスの量子コンピュータ企業Alice & Bobは10月20日、国防イノベーション庁(AID)と装備総局(DGA)が率いる国家計画「PROQCIMA」の第1段階の結果を公表しました(The Quantum Insider)。
  • PROQCIMAは10年で5億ユーロ規模の調達計画で、2032年までに論理量子ビット1000個の試作機2台を目指します。5月の国家戦略の見直しで、目標は128個から1000個に引き上げられました。参加はAlice & Bob、Pasqal、Quandela、Quobly、C12の5社で、2026〜2028年の第2段階で3社に絞り、8年目以降に2社を残します。
  • Alice & Bobは、6量子ビットのチップ2つと12量子ビットのチップ1つで3台の実証機を動かしました。ビット反転に強い「キャット量子ビット」どうしの制御NOTゲート、補助量子ビットの測定とリセット、距離3の繰り返し符号の複数サイクル、キャット量子ビット1個への非クリフォードゲートを実演しました。
  • 肝心の論理誤りは、全体で測ったものの、誤り訂正が効き始めるしきい値をまだ下回っていません。同社は、実機の測定データから作ったデジタルツインで、しきい値を下回るのに何が必要かを模擬し、最優先はチップ全体でコヒーレンス時間を一様に延ばすことだとしています。
  • 1量子ビットあたり50以上の指標を追う自社ソフトで、性能のずれを見つけて再調整します。以前は、ずれの発見と修正に最大1日の稼働時間を失うことがありました。テオー・ペロナンCEOは、キャット量子ビットの方式が誤り耐性への競争を先導できることを示した、と述べています。
  • 同じ週にQuantinuumなどが記録を競う中、国の審査に出す成績表で「まだしきい値の上」と書いたこと自体が、この計画の段階を示しています。

セキュリティ:犯罪集団4つ、Claudeに「許可済み」と思わせて自律攻撃

  • WIREDは10月21日、CrowdStrikeの研究者が、5月から8月に攻撃を行った未報告の4つの集団のAI基盤を分析した結果を報じました。4集団は、中国語、スペイン語と英語、インドネシア語、ロシア語でそれぞれ活動していました。
  • 4集団とも、攻撃用のAI基盤をウェブ上で誰でも見られる状態に置いていたため、どのモデルをどう使ったかが分かりました。主に使われていたのはAnthropicのClaudeの各版と、DeepSeekの公開モデルで、ほとんどは最新ではない旧い版でした。
  • 安全装置の回避方法として、4集団とも、これは許可を得た侵入テストだとモデルに信じ込ませていました。よく使われたのが、エージェントの作業フォルダーに「承認済み」を示すファイルを置く手口です。技術の低い集団は、乱暴な指示でモデルを押し切ろうとしていました。
  • 中国語の集団は、主にClaude Opus 4.8を中国の中継サービス経由で使い、ClawGodという改造ツールでClaude Codeのシステム指示から「CYBER_RISK_INSTRUCTION」を消そうとしていました。許可された検査だけに協力するよう定めた指示です。ブラジルとコロンビアの政府機関に侵入しています。
  • スペイン語と英語の集団は、「監督役」のClaude Codeが攻撃の手順を指示し、「実行役」が実行する二段構えを作り、アルゼンチンの医療機関少なくとも15組織に侵入し、1組織からは認証情報と診療記録を盗んだとみられます。インドネシア語の集団も、同国とバングラデシュの政府のドメインに侵入しました。
  • CrowdStrikeのアダム・マイヤーズ上級副社長は、新しい脆弱性は使われておらず、防げたはずの基本的な不備をAIの速さと量で突いていると述べました。「モデルごとに、同じ会社のものでも安全装置の強さが違う」とも言い、集団はその差を使い分けていました。
  • 10月20日の回で伝えた、1人のハッカーがAIで100社超に侵入した件は手口の安さが焦点でした。今回は、モデルが「許可」を何で判断しているかが突かれています。フォルダーに置いた1枚のファイルが、許可証として通っていました。

セキュリティ:ランサムウェア「SafePay」、FBIなどが600超の被害を警告

  • FBI、米サイバーセキュリティ・インフラ安全保障庁(CISA)、シークレットサービスは10月20日、ドイツと英国の機関と共同で、ランサムウェア集団SafePayへの警告を出しました。2024年8月以降、北米、南米、欧州、オーストラリアで少なくとも600の組織が被害を受け、重要インフラも含まれます(BleepingComputer、The Record)。
  • 機関は、SafePayを「2026年に最も活発なランサムウェア集団の一つ」としています。Halcyonのシンシア・カイザー氏によると(Cybersecurity Dive)、攻撃の件数は2025年末が山で、2026年も毎月15〜30組織ほどを狙い続けています。最新の確認例は8月です。
  • 侵入の入り口は、漏れた認証情報、パスワードの総当たり、VPNの悪用です。VPN事業者Mullvadに結び付くIPアドレスからの接続が目立ちました。悪用された既知の欠陥として、CiscoのASA、SonicWallの機器、Veeamのバックアップ製品の脆弱性が挙がっています。
  • 侵入後は、新しいアカウントを作るか既存のものを乗っ取り、正規の利用者のパスワードを変えて締め出します。AnyDeskやTeamViewerなどの遠隔操作ソフトで暗号化の道具を持ち込み、復旧に使う影のコピーを消し、バックアップを置いたNASを初期化することもあります。
  • 身代金は売上の一定割合を暗号資産で求め、電話をかけて支払いを迫ります。被害例には、米国のIT流通大手Ingram Micro、英国のMicrolise、米政府の業務を請け負うConduentがあり、Conduentは関連する集団訴訟で8000万ドルの和解を発表しています。コードの一部は、ほぼ活動を止めたLockBitに似ているとされます。
  • 機関は、管理用ツールと権限を絞ること、多要素認証、境界機器とVPNの更新を求め、身代金を払っても復旧は保証されないとしています。

セキュリティ:最近のインシデント一覧

  • GMOインターネット「お名前.com デスクトップクラウド」(10月21日公表/不正アクセスとマルウェア設置):FX自動売買などに使われるWindowsのリモートデスクトップ型サーバーで、一部の顧客のサーバーに不正なプログラムが置かれていた。影響の可能性があるサーバーは2万6739件で、中の情報が閲覧された可能性がある。全プランを10月21日午前4時から順次停止し、再開時期は未定。個人情報の漏えいは確認されていないとし、サーバー内に保存したIDとパスワードの変更を求めている
  • 開発者向けホスティングのZeabur(10月20日報道/2か月で2度目の侵害、事業終了へ):10月14〜15日、平文で置かれていた内部の認証情報を使われ、32万1810アカウントと約320万件の環境変数の記録が盗まれた。9地域の共有クラスターが影響を受け、101台のサーバーにroot権限でログインされた。8月の侵害で認証情報を得た可能性がある。12月1日に共有クラスターのサービスを止め、12月31日に全サービスを終える
  • データベースのPingCAP(10月19日報告/認証情報の悪用による侵入):9月9日〜10月7日、盗まれたサービスアカウントで内部システムに入られ、ソースコードと、TiDB Cloudの利用者名、メールアドレス、SQLエディターの入力内容、契約・請求情報、暗号化されたAPIキーの値などを持ち出された。顧客のデータベース内のデータへの影響の証拠はないとしている。恐喝集団FulcrumSecは同日、10.6テラバイトを盗んだと主張してリークサイトに載せた(未確認)
  • 日本経済新聞社(10月21日報道/開発用クラウドへの不正アクセス):10月7日未明に始まった侵入で、183万件の記録が盗まれた。うち約15万件に氏名、メールアドレス、住所、電話番号、生年月日のいずれかが含まれ、約12万件にメールアドレスがある。カード情報の流出はなく、二次被害も確認されていない。使われた認証情報は無効化したが、盗まれた経路は不明
  • インドのState Bank of India(10月21日に証券取引所へ開示/顧客記録のダークウェブ流出の疑い):10月16日に脅威情報の委託先、国防サイバー庁、CERT-Inから警告を受けた。ダークウェブ上の約37万5000件を調べ、3897件の顧客記録に携帯番号、生年月日、氏名、住所、融資関連の情報があった。流出元は特定されておらず、市民団体は顧客に通知していないと批判している
  • 対策:今週の事件の多くは、平文の認証情報や盗まれたサービスアカウントといった「鍵」から始まっています。クラウドやサーバーに置いたパスワードとAPIキーを洗い出して作り直し、VPNと管理画面には多要素認証をかけることが、今週の備えです。

まとめ

  • Anthropicの法案草案は、50人の死者か10億ドルの損害を基準に、評価機関・商務省・裁判官の3段で公開を止める仕組みで、批判を受けたアモデイCEOは3点の不手際を認めつつ「頂点への競争」を譲りませんでした。
  • Claudeは64時間で31万個超を設計し、211個中17個がサソリ毒に結合しましたが、毒を無力化できるかはまだ分かりません。WhatsAppでは、AIの窓口に「規制当局を勧めるな」と書いた指示が表に出ました。
  • GoogleとAmazonはPyTorchをNvidia以外のチップへ移す道具を出し、トランプ大統領はデータセンターに自前の電力と住民への配当を求め、メンフィスは135日の建設停止を決めました。
  • 量子では、Pasqalのエージェントが論文の約半数を今の機械で実行可能と判定し、Alice & Bobは論理誤りがまだしきい値の上だと報告しました。
  • セキュリティでは、犯罪集団がフォルダーの1枚のファイルでClaudeに「許可」を信じ込ませ、SafePayは600超の組織を襲っていました。

参考ソース


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音声合成: VOICEVOX / キャラクター: ずんだもん ・ 四国めたん