Gemini 4 Argonは有料限定、廃業企業のメールがAI教材に、Ivanti 3連鎖ゼロデイ【2026/10/14】
2026-10-14 / 生成AIニュース
概要
Gemini 4 Argonの有料限定公開とAPI価格、Epic Gamesの「手書きコードをやめる」方針、廃業スタートアップのメールやコードがAIの学習用に売られる実態、Anthropicが試算した小型AIの自己複製ワーム、Coinbaseのビットコイン耐量子移行案、Googleの仮想誤りキャンセル、Ivantiの3連鎖ゼロデイとMicrosoftの過去最多1411件の修正を解説します。
▼ 今日のトピック ・Gemini 4 Argon、有料会員から公開、API価格は12月に倍へ ・Epic Games、Disneyとの大作で「AIファースト」へ ・廃業スタートアップのデータ売買と働き手の同意 ・Anthropic、安いTV端末を渡り歩く「AIワーム」を試算 ・Coinbase、ビットコインの耐量子移行を「今から」 ・Google、誤りの記録で計算の偏りを1000分の1以下に ・Ivanti Connect Secureの3連鎖ゼロデイ、Microsoftの10月更新 ・直近1週間のセキュリティインシデント
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生成AI・量子・セキュリティニュース(2026年10月14日)
キーワード: Gemini 4 Argonの有料限定公開 / Epic Gamesの「AIファースト」 / 廃業スタートアップのデータ売買 / 小型AIの自己複製ワーム / Coinbaseのビットコイン耐量子移行 / Ivantiの3連鎖ゼロデイ
オープニング:2026年10月14日 — 生成AI・量子・セキュリティニュース
- 今日の軸は、持ち主の手を離れたものを、誰が使い、誰が守るのかです。
- 生成AIでは、Googleが「Gemini 4 Argon」を有料会員から公開しました。Epic Gamesは、Disneyとの大型ゲームで「手書きのコードはもう書かない」方針に転じたと報じられました。
- 廃業したスタートアップの社内メールやコードが、AIの学習用に売られている実態も明らかになりました。Anthropicは、小型のAIが安いテレビ用端末を渡り歩いて自分を複製する「AIワーム」を試算しました。
- 量子では、ビットコインの約5%を預かるCoinbaseが耐量子署名への移行を今から始めるよう提言し、Googleは誤りの記録を後から使って計算の偏りを1000分の1以下にする方法を示しました。
- セキュリティでは、IvantiのVPN装置を狙う3つのゼロデイの連鎖、Microsoftの過去最多1411件の修正、直近1週間のインシデント一覧を扱います。
生成AIと新モデル:Gemini 4 Argon、有料会員から公開、API価格は12月に倍へ
- Googleは10月13日、数週間前に発表した「Gemini 4 Argon」の本格提供を始めました。発表時は悪用の恐れから慎重に進めるとしていましたが、公開は有料会員に限られます。
- Geminiアプリでは月20ドルの「AI Pro」と、月99ドルからの「AI Ultra」で使えます。コーディング向けのAntigravityとAI Studioでは、AI Ultraだけです。無料会員は最近、Flashモデルも使えなくなり、Flash-Liteのみになっていました。
- 開発者向けAPIは、11月30日までの期間限定で入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル(キャッシュは95%引き)。12月からは入力4ドル・出力20ドルに上がります。前日に紹介したMetaのMuse Wonderと同じ水準です。
- 安全面では、悪意ある指示を断るよう訓練し、意図しない作業の流れを検知すると処理を止める「ミスアラインメント監視」を組み込んだとしています。
- 社内事例として、YouTubeのコメント機能で重複した絵文字描画を見つけてサーバー負荷を45%下げたこと、ドローン配送「Project Wing」の物理シミュレーターで2018年から残っていた重大なバグを見つけたことを挙げています。
- 論点:性能の新情報はなく、変わったのは「誰が使えるか」と値段です。複数のエージェントを並列に走らせる用途ほど計算資源を食うため、最上位プランに閉じ込められました。
生成AIと仕事:Epic Games、Disneyとの大作で「手書きのコードはもう書かない」
- ブルームバーグは10月12日、Unreal Engineを持つEpic Gamesが、Disneyとの共同プロジェクトを「AIファースト」の開発に切り替えたと報じました。社内メッセージでは「手書きのコードはもう書かない」、アートは「完全なAIワークフローで生成」とされています。
- 人間の開発者は、AnthropicのClaudeなどのモデルが生成したコードやアートを管理・誘導する役になるといいます。
- 2024年初めに発表された15億ドル規模の協業で、MarvelとStar Warsを題材にしたシューティングは2027年3月発売の予定でしたが、人手不足と開発の遅れも重なり、無期限延期になったと報じられています。
- ティム・スウィーニーCEOは「同じことを少ない人数でやるのが目的ではない。全員がもっと多く、もっと良いものを作れるようにする」と投稿しました。ただし同社は3月、フォートナイトの利用減を理由に1000人超を解雇しています。
- 業界全体では、今年のGDC前の調査で生成AIを仕事に使う人は36%。用途は調べものや発想出しが81%で、コードの補助は47%にとどまります。Epicの方針は業界の平均から大きく先に出ています。
生成AIと学習データ:廃業したスタートアップのメールとコードが、AIの教材として売られる
- MITテクノロジーレビューは10月13日、閉鎖するスタートアップの社内データが、AI企業に学習用として売られている実態を報じました。
- 暗号資産の会社をたたんだキーラン・ミスケル氏は、コード一式を約2万5000ドルで売り、Google・Notion・Figma・Slackの業務データも約1万5000ドルで売却手続き中です。
- 廃業支援のSimpleClosureは、4月にデータ販売を始めてから150件超を仲介し、年末までに1000万ドル超を返す見込みです。同社の案件の47%にコードかデータの売却が含まれます。
- 8月には、破産した米スピリット航空のデータを、GoogleがAIデータ企業Mercorに競り勝って1000万ドルで買ったとされます。メール1億通、Teamsのメッセージ5億件、従業員記録17万6000件を含むと報じられ、客室乗務員の組合がプライバシーを理由に反対しました。
- 買い手の一つ、Surge AIは、議論の食い違いや判断の分かれ目が残る記録を求め、AIエージェントがITの障害対応などを練習する「強化学習ジム」を作っています。
- 弁護士のグレッグ・ユーイング氏はこのデータを「法的に放射性」と呼び、メールや予定表から通院や子どもの送迎まで分かると指摘します。エモリー大学のイフェオマ・アジュンワ教授は、売却には働き手の明示的な同意が要るべきだとしますが、米国にはこうした売買を禁じる連邦法がありません。売却益は主に上位の債権者や投資家に渡り、メールを書いた社員には入りません。
生成AIと攻撃:Anthropic、小型AIが安い端末を渡り歩く「AIワーム」を試算
- Anthropicのフロンティア・レッドチームは、小型のAIモデルが、データセンターなしで市販のIoT機器の間を自分で複製して広がる能力に「数か月」まで近づいているとする研究を公開しました(10月13日に各社が報道)。
- 実験では、1台約55ドルの無名ブランドのAndroidテレビ用端末15台に、260億パラメータの公開モデルを分割して載せ、毎秒0.39トークンで動かしました。90億パラメータのモデルは、試した9種類の機器のうち8種類で推論できました。
- 8台の模擬Android機器による閉じたネットワークで複製を試すと、完走したのは公開モデルGLM-5.2だけで、5回中4回で8台すべてに広がりました。侵入の段階は意図的に簡単にしてあり、Anthropicはこれを現実の成功率の上限とみています。
- 300億パラメータ以下のモデルは個々の段階はこなせても、つなげると誤ります。従来の伸び方が続けば、2026年末までにGLM-5.2の水準に届くと見積もっています。
- 200万台超に感染したボットネット「Kimwolf」の規模で考えると、15台ごとに1体なら約13万3000体が動く計算ですが、計算力の合計はNVIDIA H100で多くて約40枚分、1回の複製に1日以上かかります。
- 止めにくさの理由は、止めるための中央の拠点がないことです。対策として、通信事業者が大きなモデルの転送や、普段やり取りしない機器間の持続的な通信を監視すること、メーカーが初期パスワードをなくすことを挙げています。
量子コンピュータ:Coinbase、ビットコインの耐量子移行を「今から」と提言
- 暗号資産取引所のCoinbaseは10月13日、ビットコインの署名を破れる量子コンピュータが発表される前に、移行の準備を始めるべきだとするブログを公開しました。同社は全ビットコインの約5%を保有・保管しています。
- 理由は、ネットワーク共通のルール変更と資金の移動に何年もかかるためです。期限や合意済みの改修を示すものではなく、議論への材料と位置づけています。
- 候補として、BIP-360に関わる「P2MR」と「P2TRv2」を挙げ、公開鍵を必要になるまで隠し、量子攻撃に弱い支払い経路を避け、将来の署名方式を差し替えられる設計を求めました。
- 評価対象にはML-DSA、SLH-DSA、標準化後のFN-DSA、ハッシュ型の小型案SHRINCSを挙げました。ただし「どこまで署名したか」を記録し続ける状態依存型の方式は、古いバックアップから戻すと同じ状態を再利用して偽造を許す恐れがあると警告しています。
- 最も難しいのは、持ち主が動かせない、または動かさないコインです。公開鍵がすでにさらされた資金、鍵をなくした資金を挙げ、古い署名の制限、凍結、救済の仕組みを、結論ではなく検討すべき選択肢として並べました。
- 量子計算機の存在が公になる前に、こっそり盗まれる可能性にも触れています。
量子コンピュータ:Google、誤りの記録を後から使い、計算の偏りを1000分の1以下に
- Google Quantum AIの研究者は、量子誤り訂正をすり抜けて残る誤りを、計算の後に普通のコンピュータで打ち消す「仮想誤りキャンセル」をarXivのプレプリントで提案しました(The Quantum Insiderが10月13日に紹介)。
- 誤り訂正の途中で記録される「シンドローム」を、計算中に急いで判断する復号器と、後から時間をかけて調べる復号器の2つで読み、判断が一致した回はわずかに重みを増し、食い違った回にはマイナスの重みを付けて平均を取ります。
- 疑わしい回を捨てるだけでは、両方が一致して間違えた場合を直せません。食い違いの回の情報で、一致した回に残る誤りまで相殺するのが新しい点です。
- 符号距離3・5・7の表面符号で模擬し、距離7はデータ量子ビット49個です。物理誤り率が2.2%以下の有利な条件で、通常の復号に比べて論理誤りの偏りを1000分の1以下に、食い違いの回を捨てる方法に比べても100分の1以下にしました。
- 限界も明記されています。結果はシミュレーションだけで、検査そのものは完璧に動くと仮定しています。測定は多めに繰り返す必要があり、実機での実証はまだです。
セキュリティ:Ivanti Connect Secure、3つのゼロデイを連鎖してroot奪取、1つは未修正
- Ivantiは10月13日、リモート接続用VPN装置「Connect Secure」の認証回避の欠陥(CVE-2026-104935)が実際に悪用されているとして、直ちに更新するよう求めました。影響は22.8R2.4以前、25.1.2.2以前、25.1.1.1以前です。
- 発見したVolexityによると、同社がUTA0576と呼ぶ未知の攻撃者が、少なくとも10月3日からこの欠陥を別の2つの欠陥とつなげ、最新の修正を当てた装置でもログインなしにroot権限で命令を実行していました。Defusedは10月1日から悪用の兆候を捉えたとしています。
- 攻撃者はマルウェアもWebシェルも置かず、命令のたびに侵入し直し、ログを改ざんして、Ivantiの整合性チェックツールもすり抜けました。
- Ivantiが直したのは2つで、権限昇格の3つ目は修正待ちです。Shadowserverはネットに露出したConnect Secureを5500台超確認しています。
- 米CISAは2021年11月以降、Ivanti製品の36件の欠陥を「悪用が確認された脆弱性」に登録し、うち12件はランサムウェアにも使われました。
セキュリティ:Microsoftの10月更新、過去最多の1411件を修正
- Microsoftは10月13日の月例更新で、過去最多となる1411件の欠陥を修正しました。月の初めに別途直した348件は含みません。9月は966件でした。
- 「緊急」は70件で、うち57件が遠隔からのコード実行です。ブリーピングコンピューターは、件数の急増を、MicrosoftがAIで欠陥を見つけて直していることと結びつけています。
- 悪用済みのゼロデイは、Windowsシェルの欠陥(CVE-2026-96951)で、ネットから来たファイルに付く「Mark of the Web」の警告を回避されます。公表済みのゼロデイには、Google Project Zeroのジェームズ・フォーショー氏が見つけた.NET Frameworkの欠陥(CVE-2026-108398)などがあります。
- 同じ日、Windows 11 24H2のHomeとProはサポートを終え、10月の更新が最後になりました。
- 同じ10月13日、SAPもPython向けクラウドSDKの最大深刻度の欠陥(CVE-2026-89111)を修正しました。複数テナントのアプリで、認証トークンの要求を攻撃者のサーバーへ向けさせ、資格情報を盗める欠陥です。
セキュリティ:最近のインシデント一覧
- TFG London(10月11日検知・10月13日公表/サイバー攻撃によるシステム停止):英国のPhase Eight、Hobbs、Whistlesの3ブランドで複数のITシステムが停止。店舗は営業中で、顧客情報の流出を調査中。犯行声明は確認されていない。
- 英国住宅オンブズマン(10月13日公表/委託先のITセキュリティ事案):イングランドの公営住宅の住民と家主の紛争を扱う機関で、案件管理システムが影響を受け、新しい苦情を受け付けられない状態。封じ込めは済み、個人情報への影響を調査中で、情報コミッショナー事務局に報告。
- Jeppesen ForeFlight(10月7日報道/データ窃取と恐喝):Boeingが2025年11月にThoma Bravoへ105億5000万ドルで売却した航法データ部門。ShinyHuntersが恐喝を試みたとBoeingが認めた一方、同社は「業務や製品への影響はない」としている。
- Yandex(10月8〜11日/ドローン攻撃によるデータセンター停止の続報):Sasovo・Kaluga・Vladimirの3拠点が被害を受け、2拠点が全面停止。クラウドに預けたファイルを取り出せない利用者が出ており、同社は「緊急運用」として別の復旧手段の利用を勧めている。
- H&M(今週/ShinyHuntersを名乗る人物による犯行の主張):データ公開を脅す投稿が出たが、同社は「データ環境が侵害された兆候は見つかっていない」と説明(主張段階)。
- Docker Hub(10月13日公表/認証の欠陥、悪用の証拠なし):個人のアクセストークンが、本人の同意なしに別の組織の持ち主へ付け替えられる欠陥(CVE-2026-105445)が2024年8月から存在。9月30日に報告を受けて4時間以内に修正し、30万4000件のプッシュを調べて悪用は見つからなかった。付け替えられたトークンは10月8日に無効化。
- 対策:VPN装置は最新版にしたうえで侵入の痕跡を確かめること、WindowsとSAPなど業務ソフトの10月更新を急ぐこと、被害を公表した店やサービスを名乗る連絡には個人情報を返さないことが、今週の備えです。
まとめ
- Gemini 4 Argonは有料会員から公開され、APIの割引は11月30日まで。Epicは大作ゲームで手書きのコードをやめる方針に転じたと報じられました。
- 廃業したスタートアップのメールやコードは、社員の同意なしにAIの教材として売られ、その代金は書いた本人に入りません。安いテレビ用端末は、AIが自分を複製して渡り歩く足場になり得ると試算されました。
- Coinbaseは持ち主が動かせないビットコインをどう扱うかを含め、耐量子移行を今から始めるよう求め、Googleは誤りの記録を後から使って計算の偏りを1000分の1以下にする方法を示しました。
- Ivantiは修正済みの装置でも3つの欠陥の連鎖で破られ、Microsoftは1411件を直しました。手を離れたデータ、端末、コイン、装置を誰が使い、誰が守るのか。それが今日の話題を貫いています。
参考ソース
- Ars Technica: Gemini 4 Argon begins rolling out in Gemini app and Antigravity, but only if you pay
- Ars Technica: Epic Games reportedly pivoting to "AI first" game development model
- MIT Technology Review: AI labs are buying data from dead startups to train their models
- SecurityWeek: Small AI Models May Soon Be Able to Self-Replicate on IoT Devices, Anthropic Warns
- The Hacker News: Anthropic Warns Small AI Models Could Soon Form Self-Propagating IoT Botnets
- The Quantum Insider: Coinbase Urges Early Work on Bitcoin's Post-Quantum Transition
- The Quantum Insider: Google Researchers Propose Using Error Records to Improve Quantum Results After Computation
- BleepingComputer: Ivanti warns of Connect Secure zero-day exploited in attacks
- The Hacker News: Attacker Chains Three Ivanti Connect Secure Zero-Days for Root Access, Only Two Patched So Far
- BleepingComputer: Microsoft October 2026 Patch Tuesday fixes 1,411 flaws, 3 zero-days
- BleepingComputer: TFG London cyberattack disrupts systems at Hobbs and Whistles retailers
- BleepingComputer: UK Housing Ombudsman Service investigates 'security incident'
- KrebsOnSecurity: ShinyHunters Extorted Boeing Spin-off Prior to Arrests
- BleepingComputer: Yandex confirms service outage as users lose access to cloud files
- BleepingComputer: Docker Hub flaw let attackers impersonate users, tamper with images
- BleepingComputer: SAP warns of maximum severity OAuth2 SSRF security flaw