AIが見つけたPHPの古い欠陥、修正4日前から攻撃 ほか今週のAI・量子・セキュリティ 2026/10/23

2026-10-23 / 生成AIニュース


概要

パスワードやAPIキーといった「鍵」をAIに預ける場面が急に増え、その鍵を狙う攻撃が同じ週に重なりました。「AIに何を預けるか」を軸に、生成AI・量子・セキュリティを横断して解説します。

▼ 今日のトピック ・Microsoftの診断AI「MAI-DxO」、難しい症例で83%、ただし伸びの多くは土台のモデルから(Science) ・OpenAI、評価額1兆2500億ドルで最大300億ドルの調達を交渉、Uberは全社員3万人にChatGPT Work ・OpenAIの会議室に盗聴器、サウジとのつながりを指摘された元技術者は保釈認められず ・1Password for Agents、パスワードを見せずにAIエージェントへログインを任せる仕組み ・Quantinuum、カラーコードで論理誤り1ラウンド100万分の5、1ラウンド約0.2秒の遅さも ・PHP2Shell、AIが見つけた古い欠陥、修正の4日前から攻撃の試み ・ConnectWise侵害、Microsoftが中国系集団とAIエージェントによる毎分3000回近いログイン試行を指摘 ・LiteLLMの配布経路が乗っ取られ、クラウドとAIの鍵を盗む版が公開 ・直近1週間のセキュリティインシデント6件(カプコン、Railway、Arista、eMudhra、Meta Muse、INTERPOL)

▼ 参考記事・ソース ・TechCrunch: Microsoft’s Mustafa Suleyman says its AI outperforms doctors on hard cases as he chases ‘medical superintelligence’ https://techcrunch.com/2026/10/22/microsofts-mustafa-suleyman-says-its-ai-outperforms-doctors-on-hard-cases-as-he-chases-medical-superintelligence/ ・TechCrunch: OpenAI working on new $30B raise at $1.25T valuation ahead of IPO https://techcrunch.com/2026/10/22/openai-working-on-new-30b-raise-at-1-25t-valuation-ahead-of-ipo/ ・TechCrunch: Uber puts all 30,000 employees on ChatGPT Work https://techcrunch.com/2026/10/22/uber-puts-all-30000-employees-on-chatgpt-work/ ・Al Jazeera: Ex-OpenAI employee accused of planting device has Saudi backing: Prosecutor https://www.aljazeera.com/economy/2026/10/19/ex-openai-employee-accused-of-planting-device-has-saudi-backing-prosecutor ・SF Standard: Accused OpenAI spy had ties to Saudi royal, prosecutors say https://sfstandard.com/2026/10/19/accused-openai-spy-had-ties-saudi-royal-prosecutors-say/ ・Wired: OpenAI Engineer Accused of Spying on Executives Ordered to Remain in Custody https://www.wired.com/story/openai-engineer-accused-of-spying-on-executives-ordered-to-remain-in-custody/ ・TechCrunch: 1Password launches a way for AI agents to log in on your behalf without seeing your password https://techcrunch.com/2026/10/22/1password-launches-a-way-for-ai-agents-to-log-in-on-your-behalf-without-seeing-your-password/ ・The Quantum Insider: Quantinuum Reports a 10x Reduction in Logical Error Rate on Helios https://thequantuminsider.com/2026/10/19/quantinuum-reports-a-10x-reduction-in-logical-error-rate-on-helios/ ・PostQuantum: Quantinuum color code on Helios https://postquantum.com/industry-news/quantinuum-color-code-helios/ ・Quantum Computing Report: News (Quantinuum and Oracle OCI Quantum AI Compute Beta, 10月22日) https://quantumcomputingreport.com/news/ ・KrebsOnSecurity: Widespread PHP Flaw May Cause Many Site Outages Today https://krebsonsecurity.com/2026/10/widespread-php-flaw-may-cause-many-site-outages-today/ ・BleepingComputer: Amazon says PHP2Shell exploitation began 4 days before patches https://www.bleepingcomputer.com/news/security/amazon-says-php2shell-exploitation-began-4-days-before-patches/ ・Wired: ‘This Is Not a Drill’: Critical PHP Vulnerabilities Are Setting the Internet on Fire https://www.wired.com/story/this-is-not-a-drill-2-php-vulnerabilities-are-setting-the-internet-on-fire/ ・JPCERT/CC: PHPにおける複数の脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)に関する注意喚起 https://www.jpcert.or.jp/at/2026/at260033.html ・IPA: PHPの脆弱性対策について(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619:PHP2shell) https://www.ipa.go.jp/security/security-alert/2026/alert20261022.html ・TechCrunch: Chinese hackers spied on thousands of companies after breaching IT giant ConnectWise https://techcrunch.com/2026/10/22/chinese-hackers-spied-on-thousands-of-companies-after-breaching-it-giant-connectwise/ ・BleepingComputer: LiteLLM release pipeline hacked to distribute info-stealer malware https://www.bleepingcomputer.com/news/security/litellm-release-pipeline-hacked-to-distribute-info-stealer-malware/ ・BleepingComputer: Capcom confirms data breach affecting 11.7 million accounts https://www.bleepingcomputer.com/news/security/capcom-confirms-data-breach-affecting-117-million-accounts/ ・BleepingComputer: Railway warns devs to rotate secrets after potential breach https://www.bleepingcomputer.com/news/security/railway-warns-devs-to-rotate-secrets-after-potential-breach/ ・BleepingComputer: Arista patches new VeloCloud Orchestrator zero-day exploited in attacks https://www.bleepingcomputer.com/news/security/arista-patches-new-velocloud-orchestrator-zero-day-exploited-in-attacks/ ・The Hacker News: eMudhra to Exit Global SSL/TLS Business After 8 Intermediate CA Keys Found Easily Guessable https://thehackernews.com/2026/10/emudhra-to-exit-global-ssltls-business.html ・Ars Technica: Disgraced eMudhra drops out of TLS business after using cert private key of 4 https://arstechnica.com/security/2026/10/disgraced-emudhra-drops-out-of-tls-business-following-certificate-debacle/ ・Futurism: Meta Muse share links exposed private chats https://futurism.com/future-society/meta-muse-ai-agent-sharing-private-data ・The Hacker News: INTERPOL Arrests 1,462 Suspects, Disrupts 10,909 Cybercrime Networks in Global Crackdown https://thehackernews.com/2026/10/interpol-arrests-1462-suspects-disrupts.html

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生成AI・量子・セキュリティニュース(2026年10月23日)

キーワード: Microsoftの診断AI「MAI-DxO」 / OpenAIの評価額1兆2500億ドル / OpenAI会議室の盗聴器 / 1Password for Agents / Quantinuumのカラーコード / PHP2ShellとLiteLLMの乗っ取り

オープニング:2026年10月23日 — 生成AI・量子・セキュリティニュース

  • 今日の軸は「AIに何を預けるか」です。パスワード、APIキー、クラウドの認証情報といった「鍵」を、AIエージェントやAIの開発基盤に預ける場面が急に増え、その鍵を狙う攻撃も同じ週に重なりました。
  • 生成AIでは、Microsoftの診断AIが難しい症例で83%正解したという『Science』の論文、OpenAIの1兆2500億ドルでの資金調達交渉とUberの全社導入、OpenAIの会議室に盗聴器を仕掛けたとされる元技術者の勾留、1Passwordがエージェントにパスワードを見せずにログインさせる仕組みを扱います。
  • 量子では、Quantinuumがカラーコードと呼ぶ誤り訂正で、論理誤りを1ラウンドあたり100万分の5まで下げた結果を扱います。
  • セキュリティでは、AIが見つけたPHPの古い欠陥「PHP2Shell」、ConnectWise侵害の実行者とAIエージェントの速さ、AI開発で広く使われるLiteLLMの配布経路の乗っ取り、直近1週間のインシデント一覧を扱います。

生成AIと医療:Microsoftの診断AI、難しい症例で83%、伸びの多くは土台のモデルから

  • Microsoft AIは10月22日、診断支援システム「MAI-DxO」の研究を『Science』に発表しました。患者への質問、検査の指示、診断の議論を、医師団のように役割を分けた複数のAIエージェントが進めます。現実の患者ではなく、模擬の研究です(TechCrunch)。
  • 症例は医学誌『New England Journal of Medicine』の難しい症例検討から取りました。MAI-DxOの正解率は83%、参考資料を使いながら1人で診断したプライマリケア医と総合内科医は36%でした。難しい症例をふだん担う専門医や医師チームは比較に入っていません。
  • 土台のモデルにはOpenAI、Google、Anthropic、Meta、DeepSeekのものを試し、最良はOpenAIのGPT-5とGPT-5.5でした。GPT-5単独でも難しい症例で78.9%を当て、1症例の検査費用は約8400ドルでした。MAI-DxOを重ねると費用は約3000ドル下がりましたが、正解率の上積みは約4ポイントでした。
  • GPT-5.5では、MAI-DxOが正解率を72%から約87%へ上げ、費用もやや下げました。一方、救急外来の症例では、GPT-5でもGPT-5.5でも上積みはほとんどなく、GPT-5.5は有無にかかわらず約85%でした。軽いGemini 2.5 Flashは46.4%から約69%へ伸びましたが、強いモデルとの差のほうが大きいままです。
  • 研究者自身、モデルが理論上の上限に近づくほど上積みは小さくなると認めています。TechCrunchは、伸びの大半が土台のモデルから来ていると読み取れる、と書いています。
  • ムスタファ・スレイマンCEOは、これを「医療の超知能」への一歩と呼び、24〜36か月で医療向けモデルの能力が「一桁」良くなると予測しました。メイヨー・クリニックと医療基盤モデルを学習させて来年公開する計画と、ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターで、同意した患者にMAI-DxOの推奨を通常の診療と並べて示し、医師の判断と比べる研究も発表しています。
  • Googleも今月、同じベス・イスラエルと、実際の救急外来でAIのAMIEを試した研究を『The Lancet』に載せました。医療AIの競争は、模擬の正解率から実際の病院での比較へ移り始めています。

生成AIと市場:OpenAI、評価額1兆2500億ドルで最大300億ドルを交渉、Uberは全社員3万人に導入

  • OpenAIは、新規の資金調達前の企業価値1兆2500億ドルで、最大300億ドルを集める交渉をしていると、CNBCが10月22日に報じました。主導はCoatueとアラブ首長国連邦(UAE)の投資家で、UAEから計算資源を確保する取引と組み合わせる可能性があります。条件は交渉中で、OpenAIはコメントしていません(TechCrunch)。
  • 1兆ドルを超えれば、非上場企業として史上最高の評価額です。Bloombergは9月29日に「1兆4000億ドルで300億ドル」と報じており、今回の数字はそれより低くなっています。
  • OpenAIは3月の調達で調達後8520億ドルと評価され、6月には新規株式公開(IPO)の書類を非公開で提出しています。今回は、IPOをすぐに進めるのではなく、その前にもう一度大型の非公開調達を選ぶ形です。
  • 競合のAnthropicは5月に9650億ドルの評価で650億ドルを集め、6月に同じく非公開で上場書類を出しました。CNBCによると、上場時に1兆5000億〜2兆ドルの評価を狙っています。
  • 同じ日、Uberは全世界の社員約3万人に、OpenAIが7月に出した企業向けエージェント「ChatGPT Work」を使わせると発表しました。今年前半の試験導入は財務、運営、製品部門などの約1000人で、早期利用者の約80%が技術者以外でした。
  • 試験では、運営データから傾向を読んで提案をまとめる、研修資料を各国の言語と市場に合わせる、個人用の業務ダッシュボードを作る、といった使い方が出ました。Uberは使い方を決め打ちせず、どの作業に使われたかを追跡して次の展開を決めるとしています。費用は明かしていません。

生成AIと社会:OpenAI盗聴事件、検察がサウジ王族とのつながりを主張、保釈は認めず

  • 10月15日に扱った、OpenAIの幹部用会議室のテレビの裏に録音装置を仕掛けたとされる事件の続報です。訴追の時点で検察は、外国政府のために動いたとは主張していませんでした。10月18日夜に公開された勾留請求の書面で、そこが変わりました(Al Jazeera、SF Standard、Wired)。
  • 検察は、元技術者のアブドゥルラフマン・アルフォザン被告(35、サウジアラビア国籍で米国の永住者)がサウジ王族の1人と頻繁に連絡を取り、AI関連の職に勧誘されていたと主張しています。「サウジは米国よりあなたを必要としている」という趣旨のメッセージに、被告は「100」と返したとされます。
  • 逮捕後、被告の妻と幼い息子のサウジ行きの片道航空券を、サウジの軍関係者が払ったとも検察は述べています。妻は捜査員に、一家でサウジへ移住する計画だったと話しました。被告は逮捕前、2か月の育児休暇中にリヤドへ飛ぶ予定でした。
  • 検察は、装置が置かれていた期間に、その会議室で政府関係者を交えた会議が開かれていたとも書いています。
  • 10月19日の審理で、被告の弁護士は、在ロサンゼルスのサウジ領事館が保釈金の全額を払うと申し出た書簡を出しました。アレックス・G・ツェ治安判事はこれを「白紙の小切手」にたとえ、保釈を認めず、裁判まで勾留を続けると決めました。サウジと米国の間に犯罪人引き渡し条約はありません。
  • 弁護側は、被告は米国に15年住んで市民権も申請しており、渡航は捜査の前に決めた家族と移民手続きのためだと反論しています。主張はいずれも公判で争われておらず、捜査は続き、追加の起訴もあり得ます。サウジ政府の広報は取材に答えていません。
  • 誰に渡すための録音だったのかという、10月15日の時点で空白だった問いに、検察は初めて国の名前を書き込みました。

生成AIとエージェント:1Password、パスワードを見せずにAIエージェントへログインを任せる仕組み

  • パスワード管理の1Passwordは10月22日、「1Password for Agents」を始めました。AIエージェントが利用者の個人アカウントにログインして作業する際、エージェント自身はパスワードを見ないまま、代わりにログインできるようにします(TechCrunch)。
  • 仕組みは3段階です。エージェントがログインを試みると、まず固有の電子的な鍵を1Passwordへ送って自分の身元を示します。次に利用者へ通知が届き、利用者が承認します。最後に1Passwordが認証情報を入力してエージェントをログインさせます。
  • 対応するエージェントとして、AnthropicのClaude Duet、OpenAIのDotsとChatGPT Work、Grok Bot、MetaのMuse、新興企業Townのエージェントを挙げ、さらに広げるとしています。料金と、毎回の承認が必要かどうかは明らかにしていません。
  • 1Passwordは、パスワードをエージェントに渡すのはよくある近道だが、写しが保存され、利用者の手の届かない所に残ると説明しています。
  • 同じ日にAxiosは、米国の銀行が利用者の口座でエージェントの動きを検知し始めたものの、多くの銀行はそれが本人の依頼によるものか見分けられないと報じました。銀行関係者は「ぞっとする」と語り、JPモルガン・チェースの広報は「利用者名とパスワードは誰にも渡すべきではない」と述べています。
  • 銀行側は「渡すな」と言い、エージェント側は「任せて」と言う。その間で、本人の承認を挟んで鍵だけを預かる役を、パスワード管理の会社が取りに来た形です。

量子コンピュータ:Quantinuum、カラーコードで論理誤り100万分の5、ただし1ラウンドは約0.2秒

  • Quantinuumは10月19日、98量子ビットのイオントラップ型の商用機「Helios」で、論理量子ビットの忠実度99.9995%、1ラウンドあたり約100万分の5の誤りを記録したと発表しました。9月に「Helix」と呼ぶ符号で出した自社記録より約10倍低い値です(The Quantum Insider、PostQuantum)。
  • 使ったのは「カラーコード」と呼ぶ誤り訂正の符号です。論文は10月16日にarXivへ出た査読前のもので、符号の大きさを表す「距離」を3、5、7と変え、論理量子ビット1個を20ラウンド守りました。
  • 1ラウンドあたりの論理誤りは、距離3で1万分の5.5、距離5で10万分の3.8、距離7で100万分の5でした。距離を2上げるごとに誤りが平均12分の1になり、同社はこれを記録的な抑制率としています。Googleが2024年に超伝導のWillowで示した抑制率は約2.1でした。
  • 代償は量子ビットの数です。測定用を含め、距離3で13個、距離5で37個、距離7で73個の物理量子ビットを使いました。9月のHelixは論理量子ビット1個に物理量子ビット10個でした。同じ機械で、少ない量子ビットのHelixと、誤りが少ないカラーコードを使い分ける形です。
  • 一方、注意点もあります。距離7の値は2万9000回の実行で論理誤りが3回という数から出しており、幅が広いです。1ラウンドは約200ミリ秒で、GoogleのWillowの1.1マイクロ秒の10万倍以上かかります。論理ゲートの誤りの下がり方は記憶より緩く、扱った回路は古典計算機でも効率よく模擬できる種類でした。
  • サンディア国立研究所のロビン・ブルーム=コハウト氏は、論理量子ビットが構成する物理量子ビットより100倍近く良いと評価しました。Quantinuumは、2029年に予定する誤り耐性の汎用機「Apollo」の目標範囲に精度が入ったとしています。10月22日にはOracleと組み、HeliosをOracleのクラウドで先行利用できる試験も始めました。

セキュリティ:PHPに古くからの重大欠陥「PHP2Shell」、AIが見つけ、修正の4日前から攻撃

  • PHPの開発チームは10月21日、重大な欠陥2件(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)を直す緊急更新を出しました。悪用されると、PHPを動かすプロセスの権限で任意のコードを実行されます。JPCERT/CCとIPAも10月22日に注意喚起を出しました。
  • 修正版は8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35です。KrebsOnSecurityは、PHP 5.4以降を動かすすべてのウェブサーバーが影響を受けるとし、発見者の1社のWizは、過去10年に出たすべての版が少なくとも1件の影響を受けると述べています。CVSSの値は報道にありません。
  • 発見にはWizとCalifが名を連ね、OpenAIも調査と関係者への連絡に加わりました。Wizは、欠陥自体は長年眠っていたもので、最先端のAIモデルが、実際に動く攻撃コードを作る難しさを大きく下げたと述べています。OpenAIは「近年で最も影響の大きいセキュリティ問題の一つ」と呼び、Wizは2021年のLog4Shellになぞらえました。
  • 公表の段取りは崩れていました。PHPチームによると、協調公表の約2日前に、CVE番号と、一部の重要インフラ事業者に渡した緩和策が漏れ、10月20日から前倒しで対象を絞った配布を始めました。
  • Amazonの脅威情報チームは、最初の悪用の試みが修正の4日前の10月17日に始まっていたとしています。攻撃者がどう事前に情報を得たかは不明です。AWSの最高情報セキュリティ責任者CJ・モーゼス氏は「広く悪用されている」と述べました。一方、Dataminrは10月22日時点で、確認できたのは探索と動かない攻撃コードで、侵害の確認はないとしています。
  • 規模は大きく、Censysはインターネットから見えるPHPのホストを約258万台、ウェブの資産を約5490万件と数えています。WordPress、Drupal、Joomla、Magentoなどの土台です。英国の国家サイバーセキュリティセンターは、すぐ更新できないサーバーは修正まで止めるよう求め、Reutersは欧州などの政府サイトが公表後に停止したと報じました。
  • AIが古い欠陥を見つける速さと、攻撃者が情報を手にする速さが、ともに人間の公表手順を追い越しています。

セキュリティ:ConnectWise侵害、Microsoftは中国系集団とAIエージェントの速さを指摘

  • 10月18日に扱ったConnectWiseのクラウドバックアップの件で、Microsoftは10月21日、中国国家に連なる攻撃集団の犯行だとする分析を公表しました。同社のブログのURLは集団名を「Storm-0940」としています(TechCrunch、10月22日)。
  • 攻撃者はConnectWiseのクラウドバックアップに侵入し、顧客企業とデータをつなぐためのアプリ用の認証情報を盗みました。それを使って、顧客のMicrosoft上の環境に正規の利用者としてログインし、メールやファイルを見られる状態にしました。
  • 10月18日の回で伝えたのは、研究者が侵入を確認した173の環境でした。Microsoftは今回、攻撃の対象になった組織を約2250と数えています。ログインの試行は1分間に3000回近くに達し、Microsoftは守る側に「検知と対応の時間がほとんどない」と述べました。
  • この速さを、MicrosoftはARTEXと呼ぶオープンソースのAIの枠組みによるものとみています。防御の耐久試験のために作られた道具で、最近の韓国の金融機関への侵害にも使われ、被害機関の多くは多要素認証を入れていなかったとされます。
  • ConnectWiseはバックアップへのアクセスを止めて調べており、22日時点で復旧を進めているとしています。
  • 何年も前に与えたアプリの権限という古い鍵が、AIエージェントの速さで一斉に使われました。

セキュリティ:LiteLLMの配布経路が乗っ取られ、鍵を盗む版が約1時間40分公開

  • 多くのAIモデルを同じ書き方で呼び出せるオープンソースの中継ソフトLiteLLMの公開手順が10月21日に乗っ取られ、攻撃者が版1.107.0をPyPIとDockerの配布先に出しました(BleepingComputer、10月22日)。
  • PyPIでは協定世界時の11時39分から13時23分まで7種類の配布物が公開され、Docker Hubでは「latest」などのタグが14時20分まで汚染された中身を指していました。複数のセキュリティ企業が、公開から6分以内に異常を見つけています。
  • 攻撃者はLiteLLM本体のコードには手を付けず、インストール用の包みに3つのファイルを足しました。Pythonが起動するたびに自動で読み込まれる仕組みを使うため、調べようとしてPythonやpipを動かしただけでもマルウェアが走ります。
  • 狙われたのは、AWS、Azure、Google Cloud、Kubernetesなどのクラウドの認証情報、LiteLLMに保存したAI各社のAPIキー、GitHubやnpmなど開発の鍵、SSHの鍵、ブラウザーに保存したログイン情報などです。暗号化して外へ送り、1時間ごとに追加の命令を取りに行く仕掛けもありました。
  • LiteLLMはGitHubで約6万1800の星を集め、PyPIから毎月約9200万回ダウンロードされ、NVIDIA、Netflix、AT&T、Oktaが利用者に挙がっています。非公開の企業版は影響を受けていません。3月にも、CIで使っていたスキャナーTrivy経由で不正な版が出されています。
  • 推奨は、攻撃前の最後の正常な版1.106.2に戻し、感染した環境はPythonを起動せずに調べ、きれいなバックアップから作り直し、すべての鍵を作り直すことです。パッケージのフォルダを消すだけでは、起動用のファイルや常駐の仕掛けが残るおそれがあります。
  • AIの鍵を一か所に集める中継ソフトは便利な分、乗っ取られれば各社の鍵がまとめて持ち出されます。

セキュリティ:最近のインシデント一覧

  • カプコン(10月19日検知、21日に警察と個人情報保護委員会へ報告/会員基盤への不正アクセス):ウェブサービスと一部のオンラインゲームで共通のCAPCOM IDから、1170万件超のメールアドレス、作成日、最終ログインの日時とIPアドレスなどが漏れた。43件は生年月日・性別・ニックネーム・国も。196件はパスワードを変えられ、本人が締め出された(同社が再設定)。他の会員のパスワードとカード情報は漏れていないとしている。侵入方法は非公表
  • 米Railway(10月22日警告/顧客の環境変数への不正アクセス):利用者約480万人、1600万超のサービスを抱えるクラウド開発基盤。暗号化した環境変数が見られ、一部は復号された中身も取られた可能性。影響は一部の利用者としつつ、全利用者に鍵の作り直しを要請。全デプロイを一時停止し、AI推論事業者を狙う一連の攻撃の一部だとして、AI推論の各社にもキーの失効を勧めた。調査中
  • 米Arista「VeloCloud Orchestrator」(10月22日公表/悪用が確認された脆弱性):SD-WANの集中管理ソフトの自社運用版に、ログインできれば読み取り専用の利用者でも最上位の運用者権限を得られるSQLインジェクションの欠陥(CVE-2026-114625)。修正版は5.2.3.18、6.1.3.10、6.4.2.12以降。同社の今年4件目のゼロデイ
  • インドの認証局eMudhra(10月22日に撤退を決定/認証局の鍵の侵害):研究者が10月17日、同社の中間認証局8つの秘密鍵で署名してみせ、鍵を握れることを示した。うち1つは秘密鍵が「4」という極端に弱いもので、任意のサイトの証明書を作れる状態だった。8つは10月18日までに失効し、ChromeとFirefoxは数時間で遮断。取締役会は5日後、世界向けのSSL/TLS証明書事業からの撤退を決め、顧客の証明書は提携先の無料の証明書に替えるとしている
  • MetaのAIアシスタント「Muse」(10月20日報道/共有リンクからの会話の露出):共有用のアドレスに会話の題名が入り、開かれたアドレスが外部の記録データベースに残る仕組みのため、セキュリティ企業Clarocがそこから6800件超の共有された会話を見つけた。企業の売上資料、融資申請、銀行取引の明細などが含まれていた。Metaは共有機能を止めたとしている
  • INTERPOL「Serengeti III」(10月22日発表/国際的な一斉摘発):21か国の警察が6月29日〜8月31日に、1462人を逮捕し、1万909の不正なネットワークを止め、1億500万ドル超の不正な資金を取り戻した
  • 対策:AI開発の道具や基盤に置いたAPIキーとクラウドの鍵は、今週の複数の事件で同時に狙われました。使っている基盤から通知が来たら、鍵をすべて作り直し、PHPで動くサイトは修正版への更新を急ぐことが、今週の備えです。

まとめ

  • Microsoftの診断AIは難しい症例で83%を当てましたが、伸びの多くは土台のモデルから来ており、救急の症例では差がほとんど出ませんでした。
  • OpenAIは上場の前に1兆2500億ドルの評価で再び調達を探り、Uberは社員3万人にエージェントを配りました。OpenAIの盗聴事件では、検察が初めてサウジとのつながりを主張しました。
  • 1Passwordは、本人の承認を挟んでエージェントに鍵を見せずにログインさせる仕組みを出しました。
  • 量子では、Quantinuumがカラーコードで論理誤りを1ラウンド100万分の5まで下げましたが、1ラウンドに約0.2秒かかる遅さが残ります。
  • PHP2ShellではAIが古い欠陥を見つけ、攻撃は修正の4日前に始まりました。ConnectWiseでは古いアプリの権限がAIの速さで使われ、LiteLLMではAIの鍵を集める中継ソフトそのものが乗っ取られました。

参考ソース


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音声合成: VOICEVOX / キャラクター: ずんだもん ・ 四国めたん