師の名のギター「カンデーラ」を弾くパコ・ビダル、美容院から歌へ戻ったトマス・デ・ペラーテ、バダホスの婚礼のハレオ【2026/10/28】

2026-10-28 / スペイン便り


概要

「受け継いだ道具と記憶」の回です。ギタリスト列伝は、マノロ・サンルーカル、セラニート、リケーニに学んだサンルーカル・デ・バラメダのパコ・ビダル。ラミレス工房5代目ホセ・エンリケ・ラミレスが作った「トラディシオナル・セラニート」を「カンデーラ」と名付けて弾いています。バイレ列伝は、バレエと音楽教育から入り『Nocturno』で評価されたヘレスのレオノール・レアル。カンテ列伝は、マヌエル・トーレの曽孫で、美容院を20年以上営んだのち40歳を過ぎて歌い始めたユトレラのトマス・デ・ペラーテ。工房だよりは、グラナダ県ニグエラスのベルギー出身の製作家ヨハネス・トキント。パロ解説は、バダホスのヒターノの婚礼から生まれたハレオ(ハレオス・エストレメーニョス)です。冒頭では、10月28日朝にトレド県ウルダで起きた高速列車の衝突事故をお伝えします。

▼ 今日のトピック ・トレド県ウルダで高速列車アベとイリョが衝突、死者は暫定で少なくとも68人 ・ラミレス家がラジオで語ったセゴビアへのギター、メトロポリタン美術館、ジョージ・ハリスン ・バダホス・ハレオ・ウィーク発表(11月13〜15日、第3回国際コンクール)/王立劇場「フラメンコ・レアル」開幕(初回アルカンヘル)/ラミレス工房と「タブラオ用ギター」 ・ギター列伝: パコ・ビダル(使用ギター: ギターラス・ラミレス「トラディシオナル・セラニート」”カンデーラ”) ・バイレ列伝: レオノール・レアル ・カンテ列伝: トマス・デ・ペラーテ ・工房だより: ヨハネス・トキント(グラナダ県ニグエラス) ・パロ解説: ハレオ(ハレオス・エストレメーニョス)

▼ 関連リンク(アーティスト・パロ・工房) ・パコ・ビダル『Fantasía』トラディシオナル・セラニートで演奏(ギターラス・ラミレス公式) https://www.youtube.com/watch?v=JuhFe6mTyD4 ・パコ・ビダル『Pan y Taranta』モデロ・エストゥディオ・フラメンコで演奏(ギターラス・ラミレス公式) https://www.youtube.com/watch?v=3NluGSEhTnM ・パコ・ビダル『Guajiras con guitarra José Ramírez』(本人公式) https://www.youtube.com/watch?v=wz0oGVyAY2w ・レオノール・レアル『NOCTURNO』初演抜粋(本人公式) https://www.youtube.com/watch?v=UzPXMzGC3hc ・トマス・デ・ペラーテ『Soleá sola』アルフレド・ラゴスと(本人公式) https://www.youtube.com/watch?v=c8Esw2iZUNI ・ハビエル・サンチェス『por Granaína』ヨハネス・トキントのギターで(工房公式) https://www.youtube.com/watch?v=FbpnLyo8C_U ・ハビエル・サンチェス『Punta y Tacón』ヨハネス・トキントのギターで(工房公式) https://www.youtube.com/watch?v=JkSvWHfieos ・ヨハネス・トキント 公式サイト https://johannestkindt.com/ ・レメディオス・アマヤ『Tratante de vara larga(Jaleos Extremeños)』(配信元公式) https://www.youtube.com/watch?v=Ob93hzKlf4s ・ラ・ルピ『Jaleos Extremeños』(ラ・ルピ舞踊団公式) https://www.youtube.com/watch?v=NMaFpqvhKS4

▼ 参考記事・ソース ・La Prensa(EFE)「Choque de trenes en Toledo」 https://www.laprensa.hn/fotogalerias/mundo/ave-choque-trenes-toledo-muertos-victimas-adif-urda-ED32464101 ・Guitarras Ramírez「What Is the Secret of the Ramírez Sound?」 https://guitarrasramirez.com/en/ramirez-guitar-sound-segovia-beatles/ ・ExpoFlamenco「…Badajoz Jaleo Week」 https://expoflamenco.com/revista/el-flamenco-inundara-calles-plazas-y-espacios-culturales-pacenses-durante-la-badajoz-jaleo-week/ ・esMADRID「Flamenco Real 26/27」 https://www.esmadrid.com/de/node/90114 ・Guitarras Ramírez「Interview with Paco Vidal and his guitar ‘Candela’」 https://guitarrasramirez.com/en/interview-with-paco-vidal-and-his-guitar-candela/ ・ExpoFlamenco「Rito, el documental que redescubre a Perrate」 https://expoflamenco.world/rito-el-documental-que-redescubre-a-perrate-cantaor-de-linaje-y-vanguardia/ ・Última Hora(Europa Press)「La guitarra española se asienta entre la oferta artesanal de la comarca del Valle de Lecrín」 https://www.ultimahora.es/noticias/comunidades/2024/01/05/2082261/guitarra-espanola-asienta-entre-oferta-artesanal-comarca-del-valle-lecrin-granada.html

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スペイン文化・フラメンコ便り(2026年10月28日)

オープニング:2026年10月28日 — スペイン文化・フラメンコ便り

  • 今日のスペイン語は「アニモ(¡Ánimo!)」。「元気を出して」「がんばって」と、つらい場面にいる相手を支えるときの短い言葉である。今朝、トレド県ウルダで高速列車どうしの衝突事故が起きた。
  • 今日の軸は「受け継いだ道具と記憶」。ギタリスト列伝は、ラミレス工房の「トラディシオナル・セラニート」を「カンデーラ」と名付けて弾くサンルーカル・デ・バラメダのパコ・ビダル。バイレ列伝は、バレエと音楽教育から入り、引退した踊り手たちの語りを舞台にしたヘレスのレオノール・レアル。カンテ列伝は、美容院を20年以上営み、40歳を過ぎて歌い始めたユトレラのトマス・デ・ペラーテ。工房だよりはグラナダ県ニグエラスのベルギー出身の製作家ヨハネス・トキント。パロ解説は、バダホスのヒターノの婚礼から生まれたハレオ(ハレオス・エストレメーニョス)。

スペイン国内ニュース

  • ウルダで高速列車どうしが衝突: 10月28日午前8時53分ごろ、トレド県ウルダ駅付近のマドリード〜セビリア高速線で、国鉄レンフェの高速列車AVEが、止まっていた民間会社イリョの列車に後ろから衝突した。カスティーリャ=ラ・マンチャ州のガルシア=パヘ首相は、死者は少なくとも68人、重傷者は少なくとも50人と述べ、いずれも暫定の数字だと強調した。
  • プエンテ運輸相は、この路線だけで使う安全装置LZBが午前8時30分ごろに故障し、鉄道インフラ会社アディフの管制が、前方にイリョが止まり赤信号も出ていたのにAVEへ走行再開を指示したと説明し、その判断を「説明がつかない」「明らかに誤り」と述べた。AVEは8時36分に許可を受け、17分で約25キロ進んで衝突した。治安警察と鉄道事故調査委員会が調べている。
  • マドリード〜セビリア線は1992年のセビリア万博に合わせて開業した、スペイン初の高速線である。アンダルシアと首都を結ぶ動脈で、フラメンコの公演で行き来する芸術家にとっても日常の路線だ。州は緊急計画を発動し、レンフェはセビリアとコルドバの駅で家族への心理的支援を始めた。

文化・芸能ニュース

  • ラミレス家が語る「ラミレスの音」: 10月26日、ラジオ局オンダ・セロの番組『マス・デ・ウノ・マドリード』が、マドリードのギター工房ギターラス・ラミレスを約6分の報告で取り上げた。語り手は5代目のアマリア・ラミレスである。
  • 1913年5月6日、アンドレス・セゴビアがアテネオ・デ・マドリードでの演奏会のためにギターを借りに来たとき、創業者ホセ・ラミレス1世の弟マヌエル・ラミレスは、貸さずに贈った。その1本はいまニューヨークのメトロポリタン美術館にある。工房によれば、セゴビアとラミレスのギターの関係は、1987年に亡くなるまで約75年続いた。
  • ホセ・ラミレス3世は表板にレッドシダーを使い、甘く深く力のある音で大ホールに向く楽器を作った。ビートルズの『アンド・アイ・ラブ・ハー』の映像でジョージ・ハリスンが弾くのもラミレスだと工房は紹介する。アマリアは「工房には近道がない」と話す。
  • 今日のギタリスト列伝で扱うパコ・ビダルの「カンデーラ」は、この工房の5代目の手による1本である。

フラメンコニュース

  • バダホスで「ハレオ・ウィーク」の発表(10月27日、エクスポフラメンコ): バダホスのロペス・デ・アジャラ劇場で記者会見が開かれ、11月13〜15日の「バダホス・ハレオ・ウィーク」と、第3回ハレオス・エストレメーニョスによる国際フラメンコ舞踊コンクールの内容が発表された。10月30日からは写真家アンヘル・マルケスの写真展「エル・バイレ:ハレオス・エストレメーニョス」が始まる。審査員はクリスティーナ・オヨス(名誉代母)、ルベン・オルモ、パトリシア・ゲレーロ、ペドロ・コルドバ。主催の国際フラメンコ・センター長ヘスス・オルテガは「エストレマドゥーラには、知られ、分かち合われ、次の世代へ渡されるべき豊かな文化がある」と述べた。今日のパロ解説の題材である。
  • 王立劇場で「フラメンコ・レアル」新シーズン開幕(10月28日): マドリード王立劇場の舞踏の間で、2026/27年の「フラメンコ・レアル」が始まった。制作・芸術監督はソ・ラ・ナ。初回の10月28〜30日はアルカンヘル。続いて11月にフアン・デ・フアン、ダニエル・カサレス、ラ・ルピ、12月にヘマ・モネオとガブリエル・デ・ラ・トマサ、来年6月まで9組が3日ずつ立つ。水〜金の20時開演。
  • 案内には、もう一つの系列も載る。グラナダのペーニャ「ラ・プラテリア」、ヘレスの「ロス・カミーノス・デル・カンテ」、コルドバの「エル・アルミバル」、アルメリアの「エル・タラント」、マラガの「ペーニャ・フアン・ブレバ」、カディスの「ラ・ペルラ」など、アンダルシア各地のペーニャや音楽祭の名と踊り手の組が並ぶ。首都の王立劇場の看板と、アンダルシアのペーニャの名が同じ一覧に載ることになる。フラメンコを「国の顔」として首都で見せることには、発祥のアンダルシア側に複雑な感情もある。
  • ラミレス工房と「タブラオのギター」: 同じ10月26日の放送で工房は、ホセ・ラミレス1世が近代フラメンコの鍵になった「タブラオ用ギター」を作り、弟マヌエルがそれをマドリード派のフラメンコギターの土台へ発展させたと説明し、その系譜にセラニート、マノロ・サンルーカル、パコ・デ・ルシアの名を挙げた。

フラメンコギタリスト列伝

  • 今日の一人はパコ・ビダル(Paco Vidal)。カディス県サンルーカル・デ・バラメダで生まれ育った。2歳のとき、母を通じてギターに出会った。
  • 3人の師: マノロ・サンルーカルに学び、ビクトル・モンヘ「セラニート」とラファエル・リケーニにも教わった。9月27日のサンルーカル、9月30日のセラニート、9月26日のリケーニと、この番組で列伝に取り上げた3人である。作曲家として大きな形を作ったサンルーカル、マドリードで正確な技巧を磨いたセラニート、セビリアの叙情を弾くリケーニと、方向の違う3人から学んだことになる。
  • 各地を移る暮らし: マドリード、グラナダ、ビルバオ、チクラナに住んだ。マドリードの時期に、名の知られた芸術家たちと仕事をする機会を得たという。
  • 本人の言葉: 2024年6月7日、ギターラス・ラミレスが公開したインタビューで、「ギターは私の人生であり、声であり、逃げ場だ」「あらゆる経験、あらゆる本、あらゆる像が音楽になりうる」と語った。弦については「選び方はとても個人的なもの。どの弦もどのギターで同じように働くわけではない」と話している。
  • 使用ギター「カンデーラ」: 弾いているのは、ギターラス・ラミレスの「トラディシオナル・セラニート」。ラミレス家5代目のホセ・エンリケ・ラミレスが作った最初期の1本で、ホセ・エンリケと姉妹のクリスティーナが5代目、師はアマリア・ラミレスである。クリスティーナが「彼に合う」と感じて試奏を勧めたのがきっかけだった。フラメンコのギタリストは楽器に子どもの名を付けることが多い、と工房は書く。
  • 工房はこのモデルを「フラメンコ向けに組んだトラディシオナル。セラニートが使ったモデル。豊かな倍音、釣り合いのとれた、深く力のある音」と説明する。師の名を冠したモデルを、弟子が弾いていることになる。ラミレス工房は8月8日と9月9日の工房だよりで扱った。
  • 聴きどころ1: 工房公式の『Fantasía』(トラディシオナル・セラニートでの演奏、2018年)は約3分半の自作曲。工房が言う「豊かな倍音」が、和音を鳴らしたあとの残響にどう残るかを聴きたい。
  • 聴きどころ2: 工房公式の『Pan y Taranta』(モデロ・エストゥディオ・フラメンコでの演奏、2018年)は約1分の短い試奏。工房はこの機種を、フラメンコのギタリストと数か月かけて扇形の力木と胴を詰め、強い低音と明るい音にしたと説明する。タラントの重い低音が、どれだけ前に出るかに注目したい。
  • 聴きどころ3: 本人のチャンネルの『Guajiras con guitarra José Ramírez』(2018年)は、キューバ由来の明るいグアヒーラ(10月2日のパロ解説)。同じ工房の楽器で、重いタラントとは逆の軽さがどう出るかを比べられる。
  • 位置づけ: 師たちの世代がラミレスやマドリードの工房の楽器で舞台に立ったように、ビダルは同じ工房の若い5代目の楽器を弾く。弾き手と製作家の世代が並んで代わっていく例である。入り方としては、まず『Fantasía』で楽器の響きを聴き、次にタラントとグアヒーラで曲種による弾き分けを比べるとよい。

フラメンコバイレ列伝

  • 今日の一人はレオノール・レアル(Leonor Leal)。1980年、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ。
  • バレエと音楽教育から: 1989〜98年、ヘレスのベレン・フェルナンデスの学校でピアノ、クラシック・バレエ、スペイン舞踊を学び、英国ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスとセビリアのアントニオ・ルイス・ソレール職業舞踊学校の資格を取った。1998年にセビリアへ移り、セビリア大学で音楽教育の教員課程を終えた。
  • フラメンコの師: セビリアでマノロ・マリン、ピラール・オルテガ、カルメン・モンティエル、ペパ・コラル、ガルバン家に、ヘレスでフアン・パーラ、アンヘリータ・ゴメス、チキ・デ・ヘレス、メルセデス・ルイス、アンドレス・ペーニャらに学んだ。
  • 転機: アントニオ「エル・ピパ」(2002年)、アンドレス・マリン(2003〜05年)、クリスティーナ・オヨス率いるアンダルシア・フラメンコ・バレエ団(2005〜06年)、ハビエル・バロン(2007年)の舞台を経て、2008年3月5日、ヘレス・フェスティバルで初の自作『Leoleolé』を発表。2011年の『eLe eLe』で同祭の最優秀新人賞を受けた。
  • 2016年の『J.R.T. pintor y flamenco』で、演出家ペドロ・G・ロメロのもと、ギターのアルフレド・ラゴス、打楽器のアントニオ・モレノと組んだ。舞踊団マル・ペロのマリア・ムニョスについて、レアルは「空間は、自分が開きたいところから始まると理解させてくれた」と語る。
  • 代表作『Nocturno』: 2018年9月23日、セビリア・ビエナルのテアトロ・セントラルで初演。2019年のセビリア舞台芸術賞で最優秀舞踊作品賞、2020年のマックス賞で2部門の候補になった。本人公式の『NOCTURNO』初演の抜粋映像は、初演の実際の音で編集した約3分。記者オマール・カーンは、モレノが瓶や古い洗濯板からも音を出すと書いた。洗濯板の乾いた音と、レアルのサパテアードが同じ拍を分け合う場面に注目したい。
  • 近作: 『De voz, un cuerpo(声から、ひとつの体)』は、引退した踊り手ブランカ・デル・レイ、カルメラ・グレコ、ペパ・コラルの語りから作った作品で、2025年のマドリード・エン・ダンサで発表された。2025年10月22日にはマヨルカ島インカの靴の博物館で、行為作品『Qui sap caminar, sap ballar(歩ける人は踊れる)』を見せた。
  • 研究と教育: 2015/16年にソフィア王妃芸術センターの修士課程で舞台実践と視覚文化を学び、踊りながら話す講演『El lenguaje de las líneas(線の言語)』も行う。挿絵画家グリディと絵本『Catalina sin pamplinas』(2017年)と『Bailar』(2019年)を出した。
  • 位置づけ: 型の美しさで勝負する踊り手が多いなかで、レアルは音、空間、語りを材料に作品を組む。今日のカンテ列伝のトマス・デ・ペラーテとも、ギタリストのダニ・デ・モロンを加えた『Luna que se quiebra』で共演している。

フラメンコカンテ列伝

  • 今日の一人はトマス・デ・ペラーテ(Tomás de Perrate)。本名トマス・フェルナンデス・ソト。1964年6月6日、セビリア県ユトレラ生まれ。
  • 家系: ユトレラの歌の名家「ペラーテ」の出で、父はペラーテ・デ・ユトレラ、叔母はマリア「ラ・ペラータ」、曽祖父は伝説の歌い手マヌエル・トーレである。
  • ロックから: 最初に好きになったのはフラメンコではなく、ドラムとエレキギターだった。地元ユトレラで女性向けの美容院を20年以上営み、職業として歌い始めたのは40歳を過ぎてからである。1999年、ある結婚式でたまたま少し歌うと周りの人々が深く心を動かされ、それが道を変えたという。
  • 声: 金属的で、しゃがれた強い酒のような声と紹介される。ロック由来のスイング感があり、アルゼンチン・タンゴ、ジャズのスタンダード、ダダの詩人フーゴ・バルの音声詩『カラワネ』をトナーで歌うこともある。一方で、ユトレラやトリアーナのソレアは伝統の型どおりに歌う。
  • 録音: 『Utrera Flamenca』(2003年)、リカルド・パチョン制作の『Perraterías』(2005年)、リカルド・モレノとフアン・レイナ制作の『Infundio』(2010〜11年)、そして『Tres golpes』(2022年)。
  • 代表作『ソレア・ソラ』: 2017年末から、ペドロ・G・ロメロの芸術監督とアルフレド・ラゴスのギターで続けるソレアだけの公演。2018年のセビリア・ビエナル、2019年のニーム、マドリードの祭りで上演した。本人公式の『Soleá sola』(2020年9月19日、セビリア・ビエナル)は約10分。ソレアの重い12拍の上で、しゃがれた声が一つの母音をどこまで引っぱるか、ラゴスのギターがどこで黙るかを聴きたい。
  • 共演: イスラエル・ガルバンの『Lo Real』『FLA.CO.MEN』、ベレン・マジャ、レオノール・レアルが舞台に呼ぶ。モロンのギタリスト、ダニ・デ・モロンやパコ・デ・アンパロとも組み、ユトレラの歌とモロンのギターの古い結びつきを今の形にしている。
  • いま: 監督エミリオ・ベルモンテのドキュメンタリー『Rito(儀式)』の主役である。ロシオ・モリーナの『Momentum』(2018年)、ホルヘ・パルドの『Trance』(2021年)に続く3部作の最後の作品で、前衛グループのブーム!やサ!との共演、現代舞踊との仕事、父から受け継いだものとの緊張を追う。本人は「いつも自分の歩みに驚かされてきた。この映画もまた一つの驚きだった」と話している。

フラメンコギター工房だより

  • 今日の製作家は、グラナダ県ニグエラスのヨハネス・トキント(Johannes T'Kindt)。ベルギー出身の若い製作家で、2024年1月の報道時点で27歳だった。全履歴で未紹介。スペイン国内で工房を営む国外出身の製作家という例である。
  • 修業: 16歳でベルギー・アントワープの国際弦楽器製作学校で学び始め、卒業後は楽器の修復を学んだ。学生時代のアパートで独自に楽器を作り、技法を試した。
  • ラ・エラドゥーラからグラナダへ: 2016年、グラナダ県ラ・エラドゥーラの製作家スティーブン・ヒルのもとで見習いとして働き、翌年も戻って協力した。ヒルの製作学校は10月6日の工房だよりで扱った。2017年10月、グラナダ県ドゥルカルに最初の工房を開いた。
  • ニグエラスの家: いまの住まい兼工房は、レクリン渓谷のニグエラスにある1945年の家で、自分で修復した。アンダルシア州の職人証を2019年に初めて受け、2024年1月に4年間更新した。擦弦楽器、鍵盤楽器、撥弦楽器の製作を対象とする証である。
  • 全工程を一人で: 材の切り出し、ネックの彫り、寄せ木細工、表板から胴を組む工程、研磨、フレンチポリッシュと呼ばれる手塗りのセラック仕上げ、弦張り、最初の音出しまでを工房で行う。クラシックとフラメンコのギターのほか、フラメンコ用のカホンとカポタストも作る。
  • 音を聴く: 本人公式の『Javier Sánchez por Granaína』は、ロンダ・ギター・フェスティバルでハビエル・サンチェスがトキントのフラメンコ・ギターで弾いたグラナイーナ(約2分)。表板はスプルース、裏板と側板はインド・ローズウッド。自由なリズムのグラナイーナで、高音の単音がどれだけ長く伸びるかを聴きたい。同じ奏者の『Punta y Tacón』(サビーカス作)では、速い曲での立ち上がりが比べられる。
  • 弾く人: 工房のサイトは、ヘロニモ・マヤが自作の1本を受け取ったことを伝えている(10月23日のギタリスト列伝の主役)。
  • 意味: グラナダの製作文化は、アントニオ・マリン・モンテロらの地元の系譜に、英国のヒルやベルギーのトキントのような外から来た作り手が加わって厚みを増している。

フラメンコのパロ解説

  • 今日のパロはハレオ(Jaleo)、正確にはハレオス・エストレメーニョス(Jaleos extremeños、エストレマドゥーラのハレオ)。
  • 起源: エクスポフラメンコ(10月27日)は、ハレオはバダホスのプラサ・アルタで、ヒターノの婚礼の中から生まれ、体から体へ、世代から世代へ伝えられたと書く。エストレマドゥーラ州は、祭りやヒターノの婚礼の歌い方で、「ブレリア・アル・ゴルペ」に近いと説明する。いったんはフラメンコの形として忘れられかけ、エストレマドゥーラのヒターノが取り戻したとする資料もある。
  • 系統: ブレリアの仲間で、コンパスがブレリアによく似ているため混同されることがある。マラガの解説は、始まりはブレリアのように刻むが、全体の性格はより柔らかいと書く。エストレマドゥーラには、4拍子系の「タンゴス・エストレメーニョス」という別の土地のパロもある。
  • コンパスを数える: ブレリア系の12拍で数える。「12、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11」と回し、アクセントは12、3、6、8、10に置く。パルマは3と6で強く打ち、8と10で締めると型がつかめる。祭りの曲なので、歌と踊りに合わせて数え方を柔らかく崩す場面も多い。
  • 調とコード: ブレリア系と同じく、フリジア旋法の下降「Aマイナー→G→F→E」(アンダルシア終止)が骨組みになる。最後のEが帰ってくる場所で、踊り手が足を決める。
  • 踊りの型: エクスポフラメンコは、ハレオを踊る人がエスコビージャ(足技だけの長い区間)とソニケーテ(体に染みた独特のノリ)、固有のコンパスを使うと書く。バダホスでは2024年に、このパロだけで競う国際舞踊コンクールが始まり、今年が第3回になる。
  • 代表録音1: レメディオス・アマヤの『Tratante de vara larga(ハレオス・エストレメーニョス)』(配信元公式)。題は「長い杖の家畜商」。祭りの手拍子に乗った、ブレリアより丸みのある歌い回しとコンパスに注目して聴きたい。
  • 代表映像2: ラ・ルピ舞踊団公式の『La Lupi(Jaleos Extremeños)』は、マドリードのタブラオ「ラ・カルメラ」で、ペペ・エル・ボカディージョの歌に乗って踊る15秒ほどの断片。短いが、踊り手が拍のどこで足を決めるかが見える。ラ・ルピは11月に王立劇場のフラメンコ・レアルにも出る。
  • 聴き分け: ブレリアは速く、切れ味で聴かせる。ハレオは同じ12拍の数え方でも、婚礼の輪で皆が手拍子を合わせるような、柔らかく弾む揺れが中心になる。4拍子で進めばタンゴス・エストレメーニョス、12拍で丸く揺れればハレオと聞き分けられる。

まとめ

  • 今朝のウルダの事故で、マドリードとアンダルシアを結ぶ線路の上で多くの命が失われた。
  • そのなかで今日たどったのは、受け継いだ道具と記憶だった。師の名のギターを弾くパコ・ビダル、引退した踊り手の声を体にするレオノール・レアル、美容院から曽祖父マヌエル・トーレの歌へ戻ったトマス・デ・ペラーテ、ベルギーからグラナダの谷へ来たヨハネス・トキント、そして記憶の中で生き延びたバダホスのハレオである。

参考ソース

  • La Prensa(EFE配信)「Choque de trenes en Toledo」2026-10-28 https://www.laprensa.hn/fotogalerias/mundo/ave-choque-trenes-toledo-muertos-victimas-adif-urda-ED32464101
  • Guitarras Ramírez「What Is the Secret of the Ramírez Sound? Interview with Ramírez on Más de Uno (Onda Cero)」2026-10-26 https://guitarrasramirez.com/en/ramirez-guitar-sound-segovia-beatles/
  • ExpoFlamenco「El flamenco inundará calles, plazas y espacios culturales pacenses durante la Badajoz Jaleo Week」2026-10-27 https://expoflamenco.com/revista/el-flamenco-inundara-calles-plazas-y-espacios-culturales-pacenses-durante-la-badajoz-jaleo-week/
  • esMADRID「Flamenco Real 26/27」 https://www.esmadrid.com/de/node/90114
  • Guitarras Ramírez「Interview with Paco Vidal and his guitar 'Candela'」2024-06-07 https://guitarrasramirez.com/en/interview-with-paco-vidal-and-his-guitar-candela/
  • Leonor Leal CV(セビリア大学 MAEV) https://www.maev.us.es/images/20242025/Leonor_Leal_CV.pdf
  • Planomato「De voz, un cuerpo – Leonor Leal」 https://www.planomato.com/es/madrid/p/de-voz-un-cuerpo-leonor-leal
  • Es Baluard「Leonor Leal」 https://esbaluard.org/uploads/2025/10/Leonor_PDM_CAST.pdf
  • Bienal de Flamenco 2020 経歴資料「Tomás de Perrate」 https://www.femas.es/xxi-bienal-flamenco-2020/archivos/biografias/tomas-de-perrate.pdf
  • ExpoFlamenco「Rito, el documental que redescubre a Perrate」2025-06-30 https://expoflamenco.world/rito-el-documental-que-redescubre-a-perrate-cantaor-de-linaje-y-vanguardia/
  • Europa Press/Última Hora「La guitarra española se asienta entre la oferta artesanal de la comarca del Valle de Lecrín」2024-01-05 https://www.ultimahora.es/noticias/comunidades/2024/01/05/2082261/guitarra-espanola-asienta-entre-oferta-artesanal-comarca-del-valle-lecrin-granada.html
  • Johannes T'Kindt 公式 https://johannestkindt.com/
  • Junta de Extremadura「Presentado el concurso internacional de jaleos」 https://www.juntaex.es/w/presentado-concurso-internacional-jaleos
  • Flamenco Málaga「El jaleo flamenco」 https://flamencomalaga.com/en/blog/el-jaleo-flamenco-discover-this-palo-from-malaga/

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